研究課題/領域番号 |
20K03044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
菊池 紀彦 三重大学, 教育学部, 教授 (20442676)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 医療的ケア児 / 超重症児 / 訪問教育 / ICT / 同時双方型の授業 / 通学生と訪問生のオンライン交流 / 医療的ケア / 遠隔授業 / 児童生徒の学び合い |
研究開始時の研究の概要 |
医療技術の進歩等を背景に、人工呼吸器の使用や経管栄養等を常時必要とする医療的ケア児が増加しつつある。特別支援学校には約8,200人の医療的ケア児が在籍し、そのうち約2,100人が訪問教育を受けている。彼らの中には、重篤な脳障害があるため、働きかけに対する応答が乏しい子どもたちが多数おり、こうした特徴を有する子どもたちに対する教育支援の方策が十分に確立されているとは言い難い。また、訪問教育を受けている子どもたちと、通学している児童生徒との学び合いや育ち合いを検討することも課題となっている。本研究では、全国の特別支援学校に対する調査と実践研究を通して、医療的ケア児の教育支援について検討を行う。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の中でも実践研究であったため、対象児童生徒の体調を考慮しつつ取組を行った。今年度は、訪問教育の小学部児童1名と中学部生徒1名を対象とした。2名の対象者とも、人工呼吸器を装着し、経管栄養等を必要とする超重症児である。小学部、中学部の担任とともに、それぞれの児童生徒宅を訪問した。 小学部の児童については、自宅と特別支援学校とをGoogle Classroomを用いてオンラインで繋ぎ、タブレットPCを通して児童生徒同士の合同学習の場を設定した。合同学習の場は5回設定した。合同学習の期間は、2022年9月から同年12月までであった。特に、秋の文化祭に向けた同時双方型の授業が展開された。文化祭ではスクーリングが予定されていたため、離床し、抗重力姿勢を一定時間保持した。教室の児童や教師の音声が聞こえると、あたかもその音源を探るかのように眼球の動きが認められた。その際、安静時よりもHR変動の上昇が認められるとともに、持続的心拍数変動を解析すると、安静時と授業中では、授業中のHRV値が有意に高かった。 中学部の生徒にも通学する生徒との同時双方型の合同学習を設定しようと試みたものの、対象生徒の体調変化等により困難であった。そのため、今回は同時双方型の授業を見送り、担任の教師とともに授業を行った。働きかけに対する応答が殆ど認められないため、全身をくまなく観察し、不随意的な微小運動が発現する箇所に身体接触を伴うフィードバックを行った。授業終了後に持続的心拍数変動を解析すると、安静時と授業中では、授業中のHRV値が有意に高いことが認められた。 医療的ケアを濃厚に必要とする超重症児の場合、生命活動が極めて脆弱であるため、自宅に居ながらにしても体調の維持・管理が困難である。2名の児童生徒を対象としたかかわりから、同時双方型学習を行うことも時として困難であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症により、2022年度前半は対象児童の自宅を訪問することが困難であった。しかしながら2学期から2名の児童生徒宅を訪問し、同時双方型の授業を行った。2021年度に比し、訪問回数を増やし取組を充実することができたものの、2023年3月末までの訪問であったため、データの解析が不十分である。2023年度はデータの解析にしっかりと取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
データの蓄積を行うことができたものの、2023年3月までの対象児童生徒宅でのかかわりを行っていたため、解析が不十分であった。2023年度は、映像記録とバイタルサインのデータを重ね合わせ、働きかけに対する応答について、行動観察だけでなく、生理心理学的側面からの解析を行う。
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