研究課題/領域番号 |
20K03053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東京工科大学 (2022-2023) 目白大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
池田 泰子 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (90387514)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 吃音 / 間接法 / 環境調整法 / 年表方式のメンタルリハーサル法 / 症状の自己評価 / インタビュー調査 / チェック票 / インタビュー / 評価票 / 改善要因 / アセスメント / 訓練プログラム / 早期改善 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年度は、吃音児の症状が悪化する要因を把握するためのチェック票(「吃音の悪化状態を把握するチェック票」「保護者の子どもへの関わり方を把握するチェック票」)を作成する。2021年度は、訓練効果の有無を把握するためのチェック票(「子どもの主体的な行動と発話を把握するチェック票」「子どもの吃音症状に関するチェック票」)を作成する。2022年度は、2020年から検討している吃音児の環境調整に関わるアセスメントとそれに対応する訓練プログラム(事例集を含む)を完成させる。
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研究実績の概要 |
1.吃音が寛解した成人の2年3ヵ月の臨床データを分析し、改善に関わる要因を検証した。そこで得られた知見を本研究の成果として2023年8月にニュージーランドで開催された第32回国際音声言語医学会(IALP)にて「吃音が改善した成人1事例における吃音症状が重いと思うことの自己評価の変化」というタイトルで発表を行った。対象者の初回時の吃音進展段階は第4層であり、2年3ヵ月後には「全く気にならなくなった」とのことで訓練を終了した(面談回数:19回)。今回主に分析を行ったデータは「吃音に関する考え・行動に関する調査票」であり、症状の自己評価、会話場面の主体性、自身の発話への注目、工夫・回避の有無等、吃音の改善・悪化に関わる38項目で構成されており(5件法)、月1回の頻度で行った面談時に吃音の状態を把握する目的で実施した。本研究から吃音の改善について得られた知見は次の通りである。①吃音進展段階4層→3層→2層→寛解と改善し、悪化する時と逆の流れで改善したことから、臨床場面における吃音進展段階の確認は改善・悪化の指標となり得ることが示された。②症状の軽減(自己評価)に関する項目と関係が強かったのは、「発話への注目」「話し方の工夫」「話す場面の否定的な感情」であったことから、吃音に対する否定的な感情を軽減するアプローチが重要であること。また、対象者が発話の流暢性が促進されるだろうと自ら行っていた話し方の意図的な工夫を止めるよう指導を行い、吃音発症前の自然で無意識に話すことを目指したことが改善に有効であったとことが考えられた。 2.環境調整を実践するための根拠となる情報の収集であり、環境調整が良い方向に向かっているかを確認するためのチェック票「保護者の子どもへの関わり方を把握するチェック票」「子どもの主体的な行動と発話を把握するチェック票」「子どもの吃音症状に関するチェック票」を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の成果として作成予定である「事例集」の構成について、研究協力者と再検討した。研究立案当初は、環境調整法(間接法)を用いて吃音が改善した子どもの保護者を対象として行ったインタビュー調査から得られた効果的であったと考えられる働きかけを掲載予定であった。事例集の内容を検討する過程において、本研究の成果として作成した環境調整法に活用するチェック票「保護者の子どもへの関わり方を把握するチェック票」「子どもの主体的な行動と発話を把握するチェック票」「子どもの吃音症状に関するチェック票」と関連させ、保護者が子どもへの働きかけを変える意義の理解を促す資料の方が改善に導きやすいと判断した。事例集の内容を大幅に変更したことによって研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1.事例集の完成:単純に子どもに対してこのような働きかけをしましょうという提案だけではなく、環境調整法を実施するにあたって保護者が自身の働きかけを変える意義を理解して環境調整を実践できることを目指した事例集を作成する。 2.環境調整法を実践する根拠となる情報の収集、環境調整が良い方向に向かっているかを確認するためのチェック票「保護者の子どもへの関わり方を把握するチェック票」「子どもの主体的な行動と発話を把握するチェック票」「子どもの吃音症状に関するチェック票」の汎用化を目指し、臨床場面でプレテストを行い、実施マニュアルを作成する。
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