研究課題/領域番号 |
20K03055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 日本福祉大学 (2021-2022) 名古屋芸術大学 (2020) |
研究代表者 |
中嶋 理香 日本福祉大学, 教育・心理学部, 教授 (50461116)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 就学前指導 / 保護者意識 / 小学校低学年 / 学校生活 / 発達障害 / 合理的配慮 / 環境整備 / 学校適応 / 発達障害圏にある子ども / アンケート調査 / 就学前教育 / 医療者支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,幼児教育から学校教育への移行支援がテーマである.これまでの学校適応の研究とは異なり,内省能力の未熟な低学年の児童生徒とその保護者の学校適応感,加えて,発達障害圏にある子どもを対象とする.就学は,どの家庭にとってもこれまでの子どものそだちとこれからを考える機会となる.この時期に家庭で子どもとともに就学について考えることを親子の発達的な課題とし,それを支援する医療者の役割を考察する研究である.研究の成果は「子どもと考える就学前からの学校生活」という内容のリーフレットを作成し社会に還元する.
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研究実績の概要 |
2022年度の研究成果として,小学校低学年の子どもの学校生活に対する保護者の視点が学年により異なることを明らかにした点があげられる。また,保護者は,社会から子どもに期待されている立ちふるまいや物事に向かうときの姿勢を認識し,その認識を子どもの発達とともに変化させながら子どもと共に成長する存在であることを確認した。教師をはじめ支援者は子どもと共に成長する存在として保護者をとらえることが重要であり,成長する存在として保護者をとらえることは,家庭との協働の一歩となることが分かった。以上の成果を第60回日本特殊教育学会で口頭発表,また,日本福祉大学紀要 子ども発達学論集に掲載した。 具体的な結果として,1年生の保護者は,学校生活に対する意欲を高める支援,2学生では落ち着きのなさや衝動性といった行動面への支援が必要であると考えていた。3学生では,それまでの学年では支援という具体的な手立てを希望していたが,意欲や集中力に対する配慮に留まり,自立・自律性を重視していることが分かった。したがって,保護者は子どもの成長する姿を発達心理学上で指摘されている発達的な観点で評価を行っており,子どもを的確にとらえていると思われる。 発達障害圏にある子どもを持つ保護者との視点の違いを明らかにする目的で,両者の比較を試みたが,発達障害圏にある対象児数が少なく,統計的な比較ができなかった。この点は,研究成果をまとめるにあたり,2023年度の研究計画の変更を検討する必要があることが分かった。 学校準備ノートの作成は,一つの成果であった。これは,保育所保育指針と過去の文献を参照し,医療領域の視点を織り込んで作成した。保護者が就学前の1年間を通して子どもの学校生活を考えられる構成とした。2022年度内でこのノートを使用した実践はできなかったが,2023年度に研究協力機関を新たに依頼して実践する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の課題は,就学後の発達障害圏にある子どもを対象とした研究を開始してから2年経た現在の学校適応状態を把握することであった。協力機関の資料が電子化されており,考えていた以上に個別の情報の収集に時間を要した。新型コロナウイルスの影響や教育活動の多忙さから研究協力施設に訪問する回数を確保することができず,計画通りに資料収集ができなかったことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し,発達障害児に焦点化した学校適応状態を調査研究する。2020年度に用いたASIST学校適応スキルプロフィールと生活質問票に対して一般の児童生徒の保護者の「学校生活評価の視点」が得られたことから,2023年度は,発達障害の子どもの学校適応に視点を移す。まず,2022年度末に収集した3年前の対象児童生徒の動向を事例ごとにまとめることを通して,具体的な姿を描き,小学校低学年の時期がその後の学校生活に与える影響を考察する予定である。 加えて,昨年度作成した「学校準備ノート」を用いた実践を行う。発達支援センターに在籍する2名の発達障害児を対象に,月に1度程度の面談を通じて支援を実践し,学校準備ノートの問題点を明らかにする。
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