研究課題/領域番号 |
20K03102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
柏木 将宏 千葉商科大学, 国際教養学部, 教授 (90320704)
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研究分担者 |
宮田 大輔 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (20339609)
細江 哲志 常葉大学, 経営学部, 准教授 (60526531)
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (70571884)
小林 直人 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (80434364)
鎌田 光宣 千葉商科大学, 人間社会学部, 教授 (90383372)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 教育工学 / 学習行動分析 / ラーニングアナリティクス / LMS / 情報基礎教育 / 情報活用能力 / 情報科学 / 情報リテラシー / 情報倫理 / 科学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
スマートフォン普及によるコンピューティングスタイルの変化によって、近年の大学生のPC利活用能力が下がるなどの課題が顕在化している。この解決には、トレードオフになりがちな情報活用能力育成(実践)と情報科学習得(理論)を融合させるような「実践的教育から理論を獲得するモデル」の確立と授業設計の開発に取り組むことが重要である。本研究チームが蓄積している網羅的な調査データ分析に加え、学習行動分析の考え方を採り入れ、情報活用能力と情報科学の基本的知識・技能の関連性を測定するシステムを開発する。またLMSで学習目標と修得内容との結びつきを理論的に解釈したアセスメントを行い、学習材の開発と実践につなげる。
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研究実績の概要 |
2023年度の大学における教育環境は、いわゆる「コロナ禍」以前の平時状況に戻った。本研究実施計画も、一昨年度の修正を経た活動の推進に努めた。本研究チームのメンバーによる研究会も、これまでと同じペースで5月の開催を皮切りに5回実施し、オンライン上のコミュニケーション等も活発に行われた。得られた研究成果としては、以下のようになる。 (1)本研究チームが継続的に実施し蓄積している情報基礎教育に関する履修者への悉皆調査を継続した。 (2)ここまでの上記調査7年度分のデータを集計、俯瞰的な分析を実施した。 (3)本研究用のLMS環境を引き続き運用し、履修者の学習記録を得るための実験を継続実施した。学習に関するログデータは、昨年度と同様に500名以上のデータが得られ、その集計・分析を実施した。 (4)初等中等教育の新教育指導要領における情報関連の内容とりわけ高等学校「情報I」に関する調査と生成AIの動向とりわけ大学における教育利活用に関する調査をそれぞれ実施し、本学の教育とりわけ悉皆的な情報基礎教育における利活用方法等に関する討議や試行を継続的に行った。 これら内容をとりまとめ、情報処理学会で報告した。また、本学における遠隔形式の授業は平時でも引き続き実施されており、本研究用のLMS利用によるコース学習機能を用いたオンデマンド形式の遠隔授業における学習行動分析のデータ取得を定常的に行える教育環境フィールドを確立できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、定常的な遠隔授業実施のための環境整備が進み、学習行動分析のためのデータ収集や学習材が整ってきた。計画では、延長した2023年度を最終年度と想定していたが、コロナ禍を経た研究計画の変更もあり本研究活動の有効的なまとめを行うためには、更なる時間を要すると判断した。 本研究用のLMS環境では、授業実践を経て見つかった機能や運用に関する不具合の改修・改善につとめた。教材も、学習効果向上のための改良を加えている。また、授業用動画コンテンツについては、生成AIを活用した制作を引き続き試行している。 本研究用LMSを積極的に活用した遠隔形式のオンデマンド授業が、カリキュラムに組み込む形で実施でき、またその授業スタイルから多人数の履修が可能となっていることは、学習活動の測定に関する有効なデータ収集を継続的に行えることを意味する。 これらから、研究計画に挙げていたLMSを高度に活用した学習の活動と評価を行う実装環境整備は整ってきたものといえる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による大学全体のリスク対応の影響があり、全般的な進捗としては計画当初からは遅延している面がある。課題の実践やより有効的な成果獲得のためにも、研究期間を更に延長することとした。2024年度は、ここまで構築した実験環境を利活用しながら、また、ここまで蓄積したデータを集計分析しながら、本研究のまとめを行うことになる。なお、情報基礎教育のオリジナルテキストの制作は引き続き行われているが、本研究の成果を積極的に採り入れ、次版改訂に活かす。 なお本研究の当初計画には無かったが、コロナ禍による遠隔形式授業の一般化と生成系AIサービスの登場による普及については、いずれも大学の初年次悉皆的な情報基礎教育に大きな影響をも与えることは確実と言えよう。新学習指導要領の「情報I」を履修した高校生の大学入学も2025年度に控えており、本研究をまとめてゆくべき方向性は、その次の段階の教育に関わる展望につながるであろうことが必然となる状況と言えよう。
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