研究課題/領域番号 |
20K03108
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮田 孝富 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (30329114)
|
研究分担者 |
浦 正広 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (40745072)
田中 孝治 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 准教授 (60583672)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | PBL / 高大接続 / 知的財産権 / PBL / 完全オンライン / ラーニングストラテジー / 学都圏"いしかわ"創成 |
研究開始時の研究の概要 |
未来予測が困難な時代が到来し,生涯学び続け,主体的に考える人材の育成がわが国では強く求められており,大学や高等学校にかかる期待は大きい.
現在,多くの大学では課題解決型学習(PBL)を採り入れるなど,教育の質的改善をすでに進めている.また,高等学校でも新学習指導要領のもと,新科目「総合的な探究の時間」を2019年度の入学者から先行実施するなど,探究的な学びの一層の強化を目指している.このような背景から,「PBL科目の高大接続」はわが国における喫緊の課題と考えられる.
そこで,本研究課題ではKolbの経験学習理論に基づき「PBL科目の高大接続を支援するシステムの構築および有効性の検証」を行う.
|
研究実績の概要 |
研究期間の最終年度としていた2022年度は,PBL科目の高大接続を支援するシステムで使用する機器を選定・導入し,開発に着手した.しかし,コロナ禍という状況下において対面での利用を想定しているシステムの検証を行えず,研究期間を延長するに至った. システムの構成について,申請時には学習者の過去のPBLの成果物の活用を想定していた.しかし,昨年度の調査でPBL科目の成果物の知的財産権が未整備である状況が浮き彫りとなり,学習者の記憶を誘発するシステムの構築へと計画を変更した.研究期間中に所属大学のPBL科目でコロナ禍での授業実施を模索し,(1)同時双方向型の遠隔授業,(2)対面授業と遠隔授業の交互,(3)対面授業のすべてを実施した.それぞれ長短はあるものの,受講生間の情報伝達の速さと深さの点では対面での活動が優るという結論に至った.これを踏まえて,本研究課題の学術的問いから導かれた「課題(i)PBLの高大接続のメディアとしての学生のパフォーマンスの最大化」も念頭に,当初の想定のVRから,対面でのコミュニケーションを前提とするシステムへと変更した.VRで想定していた情報付加,情報共有と空間の簡易拡張を対面環境下で実現するため、ARグラスと大型インタラクティブディスプレイにより構成されるシステムを設計し,機器を選定・導入して開発に着手した. いっぽう,コロナ禍の継続に伴い,対面での実験が行える状況とならなかった.学習者が大学でのPBL科目の受講前にシステムを利用することを想定していたが,第7波が落ち着いた段階で所属大学での全学必修のPBL科目を実験協力予定者が受講し始めており,2022年度の実施が叶わなかった.この状況を踏まえ,研究期間の延長申請を行い,システムの検証は次年度に持ち越すこととなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が収束しなかった影響により,申請時に想定していた3年という期間での研究課題の完遂に至らず延長申請を行っており,いっぽうで新型コロナウイルスの第5類への移行に伴い実験実施の目途が立ち、次年度での完遂が見込めることから,「やや遅れている」とした. 研究実績の概要欄にも記したとおり,コロナ禍の継続に伴い,対面での実験が行える状況とならなかったことが大きな理由である.PBLの高大接続のために学習者自身に高校での経験を振り返ってもらうというシステムの性質上,学習者には大学でのPBL科目の受講前にシステムを利用してもらうことを想定していた.しかし,第7波が落ち着いた段階で,所属大学での全学必修の1年次のPBL科目を実験協力予定者が受講し始めていたため,2022年度の実施が叶わなかった.感染対策を徹底して実施する選択肢もあったが,対策に絶対はなく,学生を預かる組織として感染リスクのある環境での実施は現実的に困難であり,次年度への延長はやむを得ない判断であったといえる. いっぽう,3年の研究期間中にコロナ対策として同一のPBL科目を遠隔授業・対面授業・その組み合わせでそれぞれ実施することで得た知見を,システム構築に反映させられるなど,課題の完遂に向けて着実に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う規制緩和を追い風として,対面での実験を実施し,システムの検証および検証結果に基づく改修を行い,システムの完成に繋げる.これにより,本研究課題で立てた学術的問いに基づく課題を解決できたかを検証する.具体的には,学習者のメディア性が高められ,経験したPBLやそこから得た学びの共有が促進されたか,そこからさらに学習者の「学びほぐし」(転移可能な知識を編み直すこと)が起きたかを検証し,得られた成果を学会などで社会に公表する.
|