研究課題/領域番号 |
20K03156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 大東文化大学 (2022-2023) 国際医療福祉大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
表 昭浩 大東文化大学, 社会学部, 教授 (70817238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日本人英語教師 / 教授発話 / 混和 / 非AI的・非NS的 / 英語教師 / 教授発話行動 / 教師自己効力感 / AI的・NS的発話 / 英語教師熟達モデル / 日本語CanDo / 非AI的支援 / 自己効力感 / 発話行動 / 英語教師の日本語 / 「日本語CanDoリスト」 / 非AI的・非NS的支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,人工知能(AI)や英語母語話者(NS)に出来ない(非AI的・非NS的な)英語教師の日本語支援に注目して「日本語CanDoリスト」を開発する.教師の日本語過大使用は英語力向上に逆効果となることがある.また,訳読や文法説明などの日本語支援がAIの機械翻訳で代替され,英語だけで授業を行うNS教師が増えると,今後,日本人教師の母語支援の意義見直しが新たな課題となる.しかし熟練教師が教授時の日本語を評価・縮減させていく過程の研究は未だ少なく,日本語縮減のための評価基準となる「日本語CanDoリスト」開発により英語力向上という目標達成のための教師の日本語使用の洗練に寄与することが可能となる.
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研究実績の概要 |
2022年度の研究デザインと計画に基づいて2023年度の研究を実施した。具体的には、5校の中学校と高校から合計6名の教師のデータ回収と分析を行った。一部の学校で当初の計画通りには進められなかったが、年度末までには全体のデータが出揃い総合的に分析することができた。これにより若干の計画の遅れが生じたものの、2024年度に2023年度に得られた結果を発表することで一定の成果を得て研究全体を終了させることが可能である。 分析は、6人の日本人英語教師の教授発話(Instructional Speech, IS)データからAI(人工知能)やNS(英語母語話者)にできない機能を操作的に定義し「AI・非AI」また「NS・非NS」という別々のカテゴリ分けにより2×2の4象限へ区分けしてその特徴を探った。その結果、日本人英語教師のバイリンガル行動(職業的バイリンガリズム)にはAI的発話(文法説明や和訳)や、AIやNS教師にはできない日本語と英語の混ざり合った発話(混和)が多く、混和を減らして非AI的な英語の増加をめざすことで、単なる和訳や英語の説明ではなく、意味内容がより豊かでより創造的な授業ができる可能性が示された。これにより、本研究の主題である「非AI的・非NS的な」英語科教師の日本語使用については、混和の効果的な在り方を探求的に明らかにすることが重要であることが明らかとなった。 本研究により、日本語を母語として学習者と共有する日本人英語教師の利点を活かしつつ、授業をこれまで以上に創造的に展開するためにAIをより積極的に活用しつつ混和を減らすことで、日本語行使を減らし英語行使を増やすためのいくつかの提言が可能である。この成果は、2023年度に既に発表した一般向けの著書とともに2024年度には刊行論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、5つの中学校及び高等学校の英語教師6名のデータを回収して探索的な分析を展開した。年度末までには最終的なまとめと調査報告を行った。コロナ禍の影響により当初の計画通りでのデザインで研究を行うことは叶わなかったが、事例研究へとデザイン変更することで新たな側面から探求内容を掘り下げことができたため、2024年度には一定程度の研究のまとめとすることが可能な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年の最終年度は、生成AIの学校教育への利用を推進する立場からこれまでの研究で得られた教育的示唆をまとめる予定にしている。 日本人英語教師の教授発話(IS)行動における「非AI・非NS的」な特徴として明らかになった混和やAI的な発話行動は比較的多くの日本語発話を含んでいる。これらのIS行動をより創造的で豊かな行動へと変えることで教師にも生徒にもより効果的な授業展開へとつなげていくことができる。 2024年度は、本研究で得られた教育的示唆を関連学会にて発表し、混和やAI的な発話を日本人教師に独自な非AI的・非NS的で豊かな英語行使へとつなげていくための、AI新時代に適合した教師のIS行動について整理し最終的な研究報告をする予定である。
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