研究課題/領域番号 |
20K03210
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原田 恒司 九州大学, 基幹教育院, 教授 (00202268)
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研究分担者 |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 物理教育 / 問題解決 / 反転授業 / 相互作用型授業 / 熟達者的思考 / 意思決定理論 / 生成AI |
研究開始時の研究の概要 |
物理学の学習経験の乏しい(苦手な)「初心者」と学習経験の豊富な(得意な)「熟達者」の間には、はっきりとした思考パターンの違いがあることが指摘されている。一方、学習者同士が互いに意見を交換しながら構成的に理解を進めるピア・インストラクション(PI)という手法は、有効な方法として注目されているが、学習や議論が手詰まりとなった際の打開策に乏しいという問題点がある。本研究は、反転授業を行い、授業時間中にはPIによる相互作用型授業を行う環境で、「熟達者」的な思考パターンを学習者に模倣させる教材を開発し、それを活用することによって、相互作用型授業での手詰まりを解消することを目指し、その効果を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、大学初年級レベルの物理学の学習において、熟達者的思考(Think like a Physicist, TlaP) の特徴的なパターンを初学者に学ばせるために、 TlaP を模倣するワークシートを開発し、それを用いた授業実践を通して、その学習効果を検証することが当初の目的である。 今までの授業実践で、TlaPを模倣するワークシートを用いた授業実践を行ってきた。学生が使用したワークシートのデータは蓄積しているが、その分析はまだ行っていない。 昨年度、意思決定理論における階層分析法(AHP)を用いて学習者の思考を数値化することによって、ワークシートでの学習を補助することを考えた。この方法では、選択(意思決定)に対していくつかの判断基準がある場合、それらを数値化することによって、言語化しにくい学習者の思考プロセスを客観化することができる。これを学習者が利用することによって、学習者の思考パターンを分析し、また学習者自身が理解を深める事ができると考えた。しかし、その具体的な方法にまでは、残念ながら研究を進めることができなかった。 一方で、今年度は生成AIが急速に普及したことにより、生成AIを学習に役立てるという全く新しい可能性が生じてきた。この研究計画の目的であるTlaP問題解決教材として、今までの延長上で「ワークシート+AHP 補助教材」を用いるよりも、生成AIの利用を前提としたものを考えることの方がより有効ではないかと考え始めた。この考えに基づき、生成AIが物理学のような分野でも学習者のチューターの役割を果たすことができるのかを調べる準備をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学における管理職としての業務の負荷が大きく、研究に割ける時間が極端に制限されている。 授業実践を行い、ワークシートのデータを取得するのが精一杯という状況で、研究課題についてじっくりと考えることがほぼできていない。
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今後の研究の推進方策 |
生成AIを利用した大学初年級レベルの物理学の問題解決の可能性を実験的に探り、生成AIの利用を前提とした教材作成に取り組む。特に、適切なプロンプトを開発し、それを学生が用いることによって、実際に熟達者的な思考を学習することができるようになるのかを検証する。
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