研究課題/領域番号 |
20K03228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
吉本 直弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10294183)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 気候変動 / 地球温暖化 / 気候変動教育 / 小学校理科 / 中学校理科 / カリキュラム / 科学的理解 / 小・中学校理科 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動教育は、現在および将来の世代が地球温暖化 の現状や仕組みを科学的に理解し、地球温暖化問題の解決に向けて行動するための鍵である。しかし、小・中学校では地球温暖化の科学的理解を図る学習は十分に行われていない。この問題の背景には、気候変動が複雑系科学であり、その小・中学生向けの解説が容易ではないことがある。そこで本研究では、地球温暖化について小・中学生の科学的理解を図るため、児童生徒が持つ科学的知識と気候変動の科学を関連付けた小・中学校理科の気候変動教育カリキュラムを開発する。さらに、その実践可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、次期学習指導要領の改訂を見据えて、気候変動時代における小学校理科の気象に関する学習のあり方について考察した。平成元年(1989年)告示の小学校学習指導要領以降、理科の気象に関する学習の内容は、主に「太陽と地面の様子」「自然界の水の様子」「天気の様子」「天気の変化」で構成されており、大きくは変化していない。児童にとって身近な気象が扱われているが、その仕組みの理解は難しく、気象学的な知識を要することや、観察の難しさ、水の状態変化の扱い方が課題である。観察の内容を精選し、気象情報の見方や活用方法に関する学習の充実を図るとともに、身近な気象と気候変動問題や自然の恵み、気象災害とのつながりを児童が考察できる学習の設計が望まれる。 この考察を踏まえ、中学校理科における気象情報の見方や活用方法に関する学習の実践的研究を行った。第2学年「日本の気象」について、気象観測データ等の資料を用いて冬季における日本の天気の特徴と気団の性質や広がりについての事実を見出し、両者を関連付けて理解する学習の授業を開発した。作成した授業案を公立中学校第2学年3クラスの生徒を対象に実践した。その結果、シベリア気団の性質や広がりを資料から見出す学習では、授業記録を取った1クラス(28名)において、86%の生徒が地表気温と地表水蒸気量の分布図からシベリア気団に相当する領域を見出し、シベリア気団の性質である寒冷で乾燥していることを正しく表現することができた。 研究期間全体を通した研究の成果として、理科における資料を活用した学習の重要性とその学術的知見の乏しさの認識が挙げられる。気候変動教育の推進にあたっては、児童生徒が観察、実験することが困難な事物・現象について、その指導・学習に関する知見の蓄積が望まれる。
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