研究課題/領域番号 |
20K03251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀 一成 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (80270346)
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研究分担者 |
坂尻 彰宏 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (30512933)
中川 紀子 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任助教(常勤) (50379278)
北沢 美帆 大阪大学, 全学教育推進機構, 講師 (60759158)
藤田 愛 (東山愛) 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任助教(常勤) (70649748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アカデミック・ライティング / 科学教育 / 教材開発 / 学習者コーパス / 自然言語処理 / 長単位 / 形態素解析 / 談話分析 / 科学ライティング / 高大接続 / 探究学習 / STEAM教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、高校生と大学生の科学ライティング能力の向上をはかるため、ライティング成果をデータマイニングし、従来にない有効な教材開発を試みるものである。特に、「ダメな科学ライティング」例の持つ教育効果に着目し、学習者自身の気づきによる高い学習効果が得られることを期待するものである。その例の作成にあたり、学習者が書く「科学的にダメな点」を自然言語処理や機械学習などの技術により抽出することを試みる点が大きな特徴である。
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研究実績の概要 |
本研究は、高校生と大学生の科学アカデミック・ライティング能力の向上をはかるため、学習者のライティング成果を収集することで学習者コーパスを構築し、そのコーパスをデータマイニングした成果を活用し、従来にない有効な教材開発を試みるものである。特に、「ダメな科学ライティング」例の持つ教育効果に着目し、学習者自身の気づきによる高い学習効果が得られることを期待するものである。そのダメ例の作成にあたり、学習者が書く「科学的にダメな点」を自然言語処理や機械学習などの技術により抽出することを試みる点が大きな特徴である。 令和5年度は、大学学部新入生の入学時点で保持しているライティング能力既習状況の把握に取り組んだ。入学時点の「書く能力」に対して最も影響があるのは2000字以上のライティング経験の有無であった。この成果は令和5年度中に発刊の大阪大学高等教育研究誌に論文掲載し、公表している。 加えて、文書の長単位に基づく形態素解析の新しい手法(国立国語研究所が開発した UD Japanese GSD + GSDLUW r2.9)の活用などの自然言語処理活用法研究を進行させた。この新しい手法を大学シラバスデータに適用し、分析に有用であるとの結果を得た。この成果は令和5年度中の言語資源ワークショップ2023における発表により、公表している。 また、これまでライティング成果を調査した結果得られた知見として、大学生・高校生は研究・探究成果を、文章として表現することに困難を覚えているだけでなく、図像情報(とくに研究成果の地理的情報を地図上に表したもの(主題図))として表現することにも困難を覚えていることが判明した。この困難解消を目的とし、主題図作成技法であるGIS(地理情報システム)の教育と教材開発の取り組みに着手した。この成果は、令和5年度中のSCISシンポジウムにおける発表により、公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、大阪大学新入生アンケートの分析により、直近の大学学部入学者の既習得能力の把握と、これまで得られた知見をもとにした新しい分野への教育・教材開発の進展がはかれた。 令和5年度は、大学学部新入生の入学時点で保持しているライティング能力既習状況の把握に取り組み、成果を大阪大学高等教育研究誌に論文掲載、公表している。また、文書の長単位に基づく形態素解析の新しい手法の活用などの自然言語処理活用法研究を進行させ、大学シラバスデータ分析に有用であるとの結果を得て、成果を発表により公表している。さらに、これまでライティング成果を調査した結果得られた知見として、大学生・高校生は研究・探究成果を、図像情報として表現することに困難を覚えていることが判明し、この困難解消を目的としたGIS(地理情報システム)の教育と教材開発の取り組みに着手した。この成果は、SCISシンポジウムにおける発表により、公表している。 このように研究成果を教育に応用するための基盤となる活動について、大きな進展があったといえる。 一方、令和2年度以来受け続けてきた新型コロナウイルス蔓延の影響は軽減されたが、令和5年度中に完成を予定していた大学および高校の学習者の個人情報であるライティング成果の研究利用について、収集できているデータの分析作業が十分進行できなかった。これにより、教材作成の基盤となる学習者科学ライティング情報の構築に引き続き遅れが生じている。 以上の状況を総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」とする自己評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、研究の完成に向け、ここまで得られた研究成果や作成している教材の取りまとめをおこなう。遅れの出ているライティング成果データ分析の進展を図る。また、令和3年度末に作成した書籍教材の成果を参考に、これまで作成済みの動画教材の改良やWebベースのeラーニング教材の新作など、形態の異なる教材の作成作業を進行させる。加えて、令和4年度後半から大きく技術が進展している生成系人工知能システムに着目し、指導教材の一部として活用できないかの研究を、引き続き試みる。新たに研究を補助してくれる者との連携を模索する。研究代表者と研究分担者との打ち合わせを緊密にし、研究完成に向け作業を進行する。
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