研究課題/領域番号 |
20K03262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 大分県立芸術文化短期大学 |
研究代表者 |
綾部 誠 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (70552313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 産学連携障壁 / 意識化 / 制度化 / 社会化 / 技術協力 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の高等教育機関では、国際協力の一環として工業分野の高度人材の育成を長年にわたって実施してきた。しかし教育・訓練を通じて大学関係者や留学生らに移転された技術・知識などが、開発途上国の企業や公社に伝搬されず、大学内に滞留する状態が継続している。そこで本研究ではボリビアにおける産学連携の在り方に着目し、移転された技術等が企業や公的機関に伝搬しない原因を明らかにする。そのため大学教職員と企業経営者を対象にして、意識化・制度化・社会化という社会開発プロセスの観点からアンケート調査とヒヤリング調査を実施することで、障壁となっている原因を突き止める。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで、南米のボリビア多民族国ならびに日本の高等教育機関において四半世紀にわたって資源開発に関連する高度人材の育成に携わってきた。しかし教育・訓練を通じて大学関係者や留学生らに移転された技術・知識などが、ボリビアの企業や公社には伝搬されず、大学内に滞留する状態が継続している。そこで本研究ではボリビアの最高学府であるサンアンドレス大学の産学連携の在り方に着目し、移転された技術等が企業や公的機関に伝搬しない原因を明らかにすることにした。
今年度は、コロナ禍による渡航制限も解除されたため、日常的にオンラインシステムを用いて連携を図りながら研究を進め、現地における調査も実施することにした。これまでに産学連携の障壁に関してミクロ領域およびメゾ領域の課題について取り組んできたが、今年度は主にマクロレベル、つまり社会化における課題を分析することに努めた。そのためサンアンドレス大学が政府・企業・地域住民などを対象として実施する産学連携活動にフォーカスを当てて分析を行うことにした。さらにボリビアにある私立大学の産学連携の活動状況についても合わせて分析を行った。
また産学連携に関する制度面でも調査も進めた。サンアンドレス大学における産学連携に関する学則、各種規定や制度を分析するとともに、大学が企業等と活動を進めるために締結している各種協定書の役割についても分析した。またボリビアの中央政府および地方政府の掲げる科学技術政策や教育政策についても分析し、どのように行政が産業界と大学に対して産学連携を推進させようとしているのかについて分析を行った。これらの結果を書籍としてまとめ出版を行うことができた。また来年度が最終段階となる産学連携の障壁に関するミクロ-メゾ-マクロ間の分析についても、前倒しで研究に着手することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オンラインシステムを日常的に活用して共同研究を進め、かつ現地調査を合わせることで調査内容を進化させることができた。これまでボリビアの大学における産学連携に関する制度面での調査は実施されておらず、これらを網羅的に分析することができた。中央政府では産学連携に関する十分な法律が制定されておらず、地方政府およびサンアンドレス大学において産学連携の推進が謳われている。一方で私立大学では産学連携に関する制度も殆どなく、取り組みについても非常に少ない状況であった。
サンアンドレス大学では学則等で産学連携推進の必要性が謳われているものの、実際にこれを担う機関が脆弱で日本のTLOや産学連携機構にあたるような機関も十分には機能していない。また大学は企業や公社などと各種協定を結んでいるが、主に教育分野における連携強化に集中しており、共同研究や技術移転を促すものを組織的に取り組んでいるところはなかった。地方自治体では条例として産学連携の重要性を掲げられており、実際に公共事業における学生の参加や学生が作成した製品の導入事例(例えば市内のごみ箱等)はあるものの、教員・研究員らとの公式な共同研究や共同出資事業などは確認されなかった。
これら社会化に関する調査結果を書籍としてまとめ出版を行った。またこれまでに実施してきた研究内容について、サンアンドレス大学、カトリカ大学、ペドロドミンゴ高等技術専門学校、ラパス商業高等学校などでセミナーを開催し、研究成果の社会還元に努めた。さらに5年目に予定している意識化(ミクロ)-制度化(メゾ)-社会化(マクロ)の相互作用に関する調査研究についても一部を前倒しで着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、これまでに取り組んできた産学連携の障壁分析の集大成として、ミクロ-メゾ-マクロリンクの観点から調査研究を進める。大学の教員や研究者および企業担当者といったミクロレベルの人々の意識や行動、大学や企業における組織的な取り組みや課題、そして産学連携に関連する社会制度や取り組みについて、各ファクターの相互関係の観点から分析を行い、これまでに実施してきた5年間の研究の総まとめを行う。
これらの調査結果を書籍としてまとめて出版をするとともに、各種セミナーを開催することによって調査結果の普及と課題解決のための取り組みの重要性を広く認識させるための取り組みを行う。
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