研究課題/領域番号 |
20K03267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
田口 哲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60281862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 中学校理科 / 高校化学 / 電気化学 / ダニエル電池 / 鉛蓄電池 / 化学教育 / 化学実験教材 / 深い学び / 探究 / 化学電池 / 教科内容学 / 実験教材 |
研究開始時の研究の概要 |
「深い学び」の実現に寄与する化学実験教材を研究代表者の専門領域である電気化学分野を例に開発し,その教材を中等教育の教育現場や大学の教員養成課程での実践に実際に活用することで,探究が促進されるか否かの観点から教材の効果を検証する。なお,電気化学分野は,近年,ハイブリット自動車や燃料電池自動車だけでなくスマートフォンの電源など,我々の身近な生活にも密接に関係しており,その原理を理解することは現代人の教養として必須であるので,この分野の教材を扱うことにしたが,「深い学び」を実現するためのモデル教材として,化学分野の他領域や理科全体の教材開発の原理を明らかにすることにも繋がるものとして位置づける。
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研究実績の概要 |
「深い学び」の実現に寄与する化学実験教材を研究代表者の専門領域である電気化学分野を例に開発するとともに,教材の効果を検証することが本研究の最終目的である。 高校化学の電気化学分野(エネルギー変換)では亜鉛電極と銅電極からなるダニエル電池が取り上げられており,この電池は,新学習指導要領では中学校理科の「化学変化とイオン」の単元でも取り扱われるようになったことから,「深い学び」の実現に寄与する化学実験教材として,まずダニエル電池に注目した。 本年度は,昨年度考案した「寒天で固めた硫酸亜鉛水溶液に亜鉛電極と銅電極を挿入し,銅電極と寒天との界面に硫酸銅水溶液を1滴だけ接触させて作成した新規ダニエル電池」について,放電による電極の表面状態の変化を走査型電子顕微鏡(SEM)で明らかにした。中学校理科・高校化学で取り上げられている一般的なダニエル電池との放電特性の違いと,この電極表面の状態を関連付けて考察した。前者では,放電による銅電極上への物質(銅)の析出が明確に観察されるが,これは,樹状結晶として析出することで銅が黒色に見えるためであることがわかった。さらに比較として,マグネシウムが負極で亜鉛が正極の電池を構築・放電し,電極の表面状態を走査型電子顕微鏡で観察することで,同じ亜鉛電極でも負極になる場合と正極になる場合があることを可視化した。 加えて,二次電池として高校化学で扱われている「鉛蓄電池」に関して,昨年度考案した「硫酸水溶液の代わりに寒天で固めた硫酸ナトリウム水溶液を用いることで安全に作成・実験できるマイクロスケール化鉛蓄電池」における充放電前後の電極表面の状態を,硫酸水溶液・硫酸水素ナトリウム水溶液・硫酸ナトリウム水溶液を用いた鉛蓄電池のそれとSEMを用いて比較し,寒天で固めた硫酸ナトリウム水溶液を使用した鉛蓄電池が自己放電を起こしにくい原因について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度に開発した実験教材を教育実践で活用し効果を検証する予定であったが,実践で効果を検証するところまでに至らなかったため。また,教材としての研究成果は得られたものの,学会発表・論文執筆には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で開発した「寒天で固めた硫酸亜鉛水溶液に亜鉛電極と銅電極を挿入し,銅電極と寒天との界面に硫酸銅水溶液を1滴だけ接触させて作成した新規ダニエル電池」については,さらに簡便な作製方法と,より短い時間で放電による銅イオンの消費が確認できる方法について検討する。さらに,本教材を中学校の理科の授業での実践で使用し,その効果について検証する。 「硫酸水溶液の代わりに寒天で固めた硫酸ナトリウム水溶液を用いることで安全に作成・実験できるマイクロスケール化鉛蓄電池」については,充放電回数による電極表面の状態の変化と放電特性との関係について明らかにする。その知見に基づき,この電池についても実践での効果について検証する。 さらに,これまでに得られた成果の学会発表並びに論文執筆をなんとか進める。
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