研究課題/領域番号 |
20K03268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小林 真人 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10261645)
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研究分担者 |
小林 弥生 聖霊女子短期大学, 生活文化科, 講師 (40837134)
山本 稔 弘前大学, 教育学部, 准教授 (40435475)
横山 洋之 秋田大学, 情報統括センター, 准教授 (80250900)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 数学活用 / ウェブ教材 / 複層的理解 / 大学基礎教育 / 接続教育 / 概念習得 / 鍵概念 |
研究開始時の研究の概要 |
大学の理系基礎教育は,専門課程で必要とされる数学の基礎力を準備する機会であるとともに,数学を社会の各場面で活用するための土台を形成する機会でもある。数学を活用するには,とくに重要ないくつかの概念を,様々な方向から眺め,その妥当性と有用性を納得していること(複層的理解)が不可欠である。 本研究では,多様な学習者が数学に関心を持ち,中心的な概念を,自らが観察を繰り返しながら,数学内外の事象と結びつけて体験することを通して複層的に理解することを支援する双方向型ウェブ教材をデザインする。
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研究実績の概要 |
昨年度までの教材作成を踏まえ,本年度は教材の改良を継続するとともに,学習支援システムとの連携についての検討および作業を行い,本教材で開発した教材デザインの評価に着手した。 教材の評価にあたり,調査と検討を行った結果,つぎの3点の要件を満たす評価方法が必要との認識に到った。1 使い勝手や外面的なデザインの評価とは一線を画し,教科内容の複層的理解と,実社会や科学技術との関連性の理解・洞察の度合いを計測する,2 解法習熟度の計測ではなく,概念を理解し活用する能力を計測する,3 本教材に限定せず,定期・不定期授業等,多種の数学体験場面において統一の指標として使用できる。このような評価で用いる指標を策定するにあたり,その検討の第一段階として,理工系大学生が基礎教育課程における数学の学習を通して身につけるべき能力(特に,知識と技能を除く能力)とは何かを調査し,さらに,実際の授業から得られたデータを分析し独自に整理した。次年度以降には,この成果を反映した評価法を具体化し,本教材の評価を行う。 本教材の評価と今後の改訂に反映するため,ウェブでの質問・回答を通した学習者の理解状況の実態の調査と分析を行った。実授業で用いられた概念理解を自己確認するためのウェブチェック教材16回2年分を調査し,概念理解の様態を,定義や基本性質の初期理解の達成,基本的利用の達成,総合的理解の達成に分け,それぞれの達成状況や,本教材の一つの柱である図的理解に対する適性の有無など,本教材のデザインに関わる知見を得た。 開発中の教材を提供するサーバを整備し,同時に開発済みの教材をもとに評価版の作成を概ね終了した。本教材で利用する学習支援システムを選定し,機能や利用実態の調査を行った。また,数学以外の理系科目で,学習支援システムでの展開と運用の実例を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では教材のデザインを終え,評価を行う予定であったが,進行がやや遅れ,評価を行えなかった。その理由の1つは,本研究の核心的なテーマをなす「概念理解」の状況を適切に評価する既存の方法が見つからず,独自に開発する必要が生じたためである。理由の2つ目は,コロナ感染症対策の影響で,教材の意図や運用効果について内外の研究者と検討する機会が十分に得られなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
利用者による短期間での評価を行うために,本教材から一部を取り出して評価版を作成中である。これを完成した上で,教材の評価と分析を行う。 評価にあたり,「基礎概念理解」の程度と活用能力を計測するための汎用性のある指標を,前年度の数学的能力の整理に基づき開発する。 教材コンテンツの随時改良に加え,理解の定着を促すための演習問題と発展的な教材の追加と学習支援室テムの機能との連携を図る。 本研究の成果である教材デザインについての報告を行う。 本研究で得られたデザインに基づく数学ウェブ教材のさらなる開発や実践的な運用方式を検討する。
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