研究課題/領域番号 |
20K03270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 元子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (90725665)
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研究分担者 |
三宅 秀彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40297932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | カンボジア / ヒト遺伝教育 / 中等教育 / 遺伝医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、カンボジアの医療者の遺伝医療に対する認識と必要性、中・高校生の遺伝に関する興味関心と教育の可能性について、アンケート調査により明らかにする。その結果より遺伝教育の方策を検討し、カンボジアでの医療者及び中・高校生への教材やモデル授業の開発を行い、「ヒト遺伝教育」モデルの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
2024年3月にカンボジアを訪問し、以下のインタビューを実施した。 ①学校教員に対するインタビュー調査:2022年度に実施した予備調査をもとに、3校計30名の教員に対しグループインタビューを実施した。生物教員は遺伝教育を必要と感じているが、それ以外の科目の教員は必要性を感じていなかった。また、遺伝については、高校2年生で扱うため、文系の生徒は学んでいないことが多かった。さらに複数の教員から、見えるもの、体験できるもの(実験や実習)のないことが、遺伝に関する教育の難しさとして挙げられていた。 ②遺伝医療及び医療者教育に関するインタビュー調査:サンライズ病院の病院長にはカンボジアにおける遺伝医療の現状について、看護大学の学部長には看護教育における遺伝教育の必要性についてのインタビューを行った。NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)は、少数の病院ではあるがカンボジアでも実施されており、医師が検査の説明を行っている。また、遺伝性疾患について、医師が患者家族に説明することはあるが、理解度は不明であり、遺伝医療として扱うのは時期尚早の印象である。また、看護教育においては、その必要性を明らかにする必要があるとの意見であった。 ③障がいのある当事者とその支援者に対するインタビュー調査:Rabbit School(支援学校)および、PPCL(障がい者自立センター)、SAORI(障碍者施設)を見学し、先生および利用者から、カンボジアにおける障がい者の立場等について、話を聞いた。知的障害と身体障害での状況は異なっている。様々な活動を通し、障害者差別はいけないとの認識は広まってきているが、障害者をサポートする意識の醸成には至っていない。また、数か月前に障害者カードができたばかりである。
以上の結果より、次年度(最終年度)は、高校生対象の遺伝に関する実験を取り入れた特別講義の実施を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が採択された2020年4月~2023年3月の3年間は、COVID-19の影響により日本‐カンボジアの渡航が叶わず、研究の遂行が困難であった。カンボジア在住の研究協力者も、プノンペンのロックダウンなどの影響によりカンボジア国内での活動も制限される状況が続いていた。また、オンラインの環境も不安定なため、2022年度にプレインタビューは実施したものの、本調査はできなかった。2023年度末にカンボジアへ渡航し、インタビュー調査が実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアの中高の教員、教員養成大学の教員、および看護学部の教員のインタビューから、遺伝については高校2年生で学ぶが、①高校卒業試験のための学習となっており、試験終了後は忘れてしまう、②実験が無いため記憶に残らない、との意見が複数見られた。そのため、高校生を対象とした、簡単な実験を含めた特別講義の実施とその前後でのアンケート調査を計画している。
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