研究課題/領域番号 |
20K03289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
品田 瑞穂 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70578757)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 被害的認知 / 対人葛藤 / 共感 / 共感的関心 / 視点取得 / 認知のゆがみ / 関係性攻撃 / 攻撃性 / 成人期 / 職場いじめ / 縦断研究 / 社会的認知 / 社会的情報処理理論 / 対人認知 / 共感性 / 認知の歪み |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、一連の調査と実験により、被害的認知・共感性の欠如・攻撃性の循環的プロセスを検証する。まず本研究の鍵となる概念である「被害的認知」を測定する尺度を作成し、信頼性・妥当性を検討する。次に作成した尺度を用いて、質問紙調査によって主要な要因間の関連を検討する(調査1)。次に、要因間の影響関係を検討するため、被害的認知を操作した実験を行う。さらに、実験室で得られたプロセスモデルの一般化可能性を検討するため、2時点を比較する継続的な調査を行う(調査2)。
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研究成果の概要 |
本研究は,他者の行動を自己への敵意や加害として認知する「被害的認知」に着目し,「被害的認知によって共感性が阻害され,攻撃行動が循環的に生じるプロセス」をモデル化し検証した。一連の調査と実験の結果,個人特性として被害的認知が高く,共感的関心が低い場合,攻撃を正当化する自己中心的な認知のゆがみと攻撃的態度が強いことが示された。また被害的認知が喚起されると,対立している他者の心理的苦痛を想像する共感的な思考は,逆に攻撃性を高める可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から,対人葛藤の持続可能性を高める要因が明らかになった。具体的には,1)個人特性としての共感的関心が低い,2)個人特性としての被害的認知が強い,3)自己の被害に注目して葛藤を捉える,またその状態で他者の心理的苦痛について想像をめぐらせることが挙げられる。逆に,対人葛藤が持続する危険性を抑制する方法として,共感の認知的側面である視点取得が有効である可能性が示唆された。ただし,先行研究では敵対的な関係にある他者に対して視点取得を行う場合,より敵対的な行動が促進されることが指摘されているため,視点取得の効果については今後の検討が必要である。
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