研究課題/領域番号 |
20K03299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 洋一郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (70454395)
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研究分担者 |
関口 倫紀 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (20373110)
佐々木 宏之 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 教授 (80389949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 公正 / 不公正 / ヴィネット研究 / 妥当性 / アシンメトリー / 公正知覚 / 不公正知覚 / 大局的公正 / デュアル・プロセス / 非線形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、公正知覚の形成メカニズムに焦点を向けた研究である。従来の公正知覚研究の多くは、公正さを分配的公正、手続き的公正というように個別に次元に分解してとらえようとしてきた。学術的にはこのように個別の公正次元が仮定されてきた。しかし、我々は、日常の生活において分配的公正や手続き的公正など、研究者が見出した観点から公正を知覚しない。なんとなく、フェアだ、アンフェアだ、というように大局的に公正を知覚すると思われる。 本研究はこうした日常的に知覚される公正さを大局的公正と命名して、これが形成される心理的メカニズムを実験的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、公正知覚と不公正知覚の非対称を検証するための研究準備を進めた。上記の目的を実現するために、我々は、実験的な手法に基づくヴィネット研究を進めることとした。 ヴィネットとは、一種のシナリオやストーリーが記述された文章を意味する。このヴィネット作成に時間を費やした。 本研究は、組織における公正さに焦点を向けている。よって組織や職場の場面で想定される3種類のシナリオを作成した。すなわち1)人事評価シナリオ、2)ビジネスコンペティションシナリオ、3)職場の引っ越しシナリオ、の3つである。就業経験のある社会人からアドバイスやチェックをしてもらいながら、シナリオを作成していった。参加者は、シナリオに登場する登場人物(当事者)の一人であるという仮定で、ヴィネットに参加してもらう。参加者は、シナリオの中で何らかの資源や報酬を配分される状況におかれる。この資源や報酬の配分をめぐって公正さや不公正さが操作された。 要因計画は、1要因7水準である。要因は、公正さと不公正さの数である。つまり公正さと不公正さを7段階で操作するシナリオを作成した。7水準の内訳であるが次の通りである。組織の公正さは、分配的公正、手続き的公正、相互作用的公正の3次元に分けられる。3次元全てが公正~公正情報なし~3次元すべてが不公正までの7水準である。公正と不公正が混在する条件は設定をしなかった。混在状況は次の研究において検討される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
職場場面にふさわしいリアリティの高いシナリオを作成することに思ったよりも時間がかかった。また、分配的公正、手続き的公正、相互作用公正という複数の公正次元が提示される順序が、参加者の公正知覚に影響を及ぼす可能性(順序効果)が危惧された。順序効果はコントロールされるべき要因である。よって、公正次元が提示される順序も要因として考慮した。このために数多くの種類のシナリオを作成する必要が生じ、想定よりもシナリオ作成に多くの時間を要した。現在は、すべてのシナリオが完成したので、オンライン調査を実施する準備が整っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
既に完成しているヴィネットを使って実際に調査を行う予定である。ヴィネット調査は、民間の調査会社に依頼をしてデータを集める予定である。 次に、公正と不公正を混在させたヴィネットを作成する。つまり公正さと不公正さが混在したシナリオを作成して大局的公正知覚に与える影響を検討する。公正さと不公正さの比率については共同研究者と相談をしながら決定をする予定である。こちらのヴィネット研究も調査会社を通じてデータを収集する予定である。 さて、ここまで2種類のヴィネットが作成された。2つのヴィネットの違いは、最初は、公正さと不公正さが混在しない状況である。もう一つは、公正さと不公正さが混在する状況である。2種類のヴィネット研究を通じて、2つの状況の違いが大局的公正知覚にどのような影響をするかを解明することに役立つと思われる。 次に、この結果を受けて実験を行う。先のヴィネット研究は、大局的公正知覚に与える各公正次元の役割を公正さと不公正さが混在しない場合と公正さと不公正さが混在する場合に分けて検証した。予定されている実験も混在しない状況と混在する状況に分けて、各公正次元が大局的公正知覚に与える影響を検証するが、これらの関係が分析思考と包括思考によって調整されるかどうかを検討する。こちらの実験も民間の調査会社を通してデータを収集する予定である。
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