研究課題/領域番号 |
20K03308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永岑 光恵 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (80392455)
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研究分担者 |
曽雌 崇弘 目白大学, 外国語学部, 教授 (00381434)
福田 恵美子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 孤独 / 加齢 / 個人差 / リスク選択 / アイオワギャンブリング課題 / 独裁者ゲーム / 給付金配分 / 所得格差 / 不安 / ストレス / アイオワ・ギャンブリング課題 / 不安感 / 皮膚電気活動 / 利他的配分 / 推論能力 / 損失 / 意思決定 / 時間的切迫 / 自律神経反応 / 意思決定過程 / 曖昧さ / 利他性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、実験心理学と行動経済学の融合的アプローチにより、加齢による意思決定過程の変容を心理的・環境的要因の相互作用の観点から解明することを目的とする。曖昧さを伴う意思決定過程を調べる「アイオワギャンブリング課題」と利他的・向社会的な意思決定過程を調べる独裁者ゲーム等の「資源配分課題」を用い、対象者を取り巻く環境要因や新たな行動、ならびに生理指標を用い、意思決定過程の包括的評価法の確立を目指す。研究の対象者には、健常若年者・高齢者に加え、脳や認知に障がいを有する高齢者も含め、意思決定過程の加齢による変容を多様な視点から解明し、日常的に使える意思決定訓練プログラムの開発に向けた基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、先の我々の挑戦的研究(萌芽)(17K18696)の発展的課題として、実験心理学と実験経済学の融合的アプローチにより、「加齢による意思決定過程の変容」を心理的・環境的要因の相互作用の観点から解明することを目的としている。 【実験心理学グループ】 令和4年度までの研究で得られたデータを再分析し、i)意思決定のどのような経時的変化が高齢者と若年者を区別するのに関わるのか、ⅱ)両者を区別する心理・社会的要因として孤立や孤独が関わるのかを評価した。機械学習による分析結果から、若者群では孤立や孤独の関連が見られなかったものの、特殊詐欺被害に直面しやすい高齢群においては、孤立や孤独の社会的・心理的要因がリスク回避の意思決定過程に関連していることが明らかとなった。また、若者を対象に、ストレス状況下における利他的行動の発現に関する実験研究を遂行し、ストレスの利他的行動への影響が他者に対する信頼感の程度によって異なる可能性が示唆された。 【実験経済学グループ】 令和4年度までの研究では、もともと所得格差がある状況に、さらに災害等によって経済損失が生じた場合に対し、人々の給付金の配分方法への選好を分析した。これにより、格差の原因による選好の違いを明らかにできたが、この要因が所得格差によるものなのか、損失格差によるものなのかが判別できていない。そこで令和5年度は、所得格差のみがある状況で一定額の給付金を二人で分配する実験を行うことで、所得の格差が給付金配分への選好に与える影響を分析した。その結果、所得格差の原因に関わらず、格差を是正する傾向があることが確認された。また、意思決定時点における立場の不確実性と利他的配分との関連について、限定合理性を導入した意思決定モデルからの説明を試み、一定の理論結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験心理学グループでは、「高齢者の意思決定」と「意思決定に関わる個人の神経生理反応モデル」に関する研究成果をいくつかの学会で発表できたこと、および令和4年度に開始した、若者を対象とした「ストレス状況下における利他的行動の発現に関する実験」を完了し、分析に着手できており、おおむね順調に進展しているといえる。 実験経済学グループでは、令和4年度までに得られた知見を学術論文にまとめるとともに、選好に影響する要因を詳細に分析するための新しい実験を設計し実施した。さらに、限定合理性を入れた意思決定モデルでの研究成果をいくつかの研究発表会で発表できており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
実験心理学グループでは、前年度に引き続き、若者群を対象とした「意思決定に関わる個人の神経生理反応モデル」に関する解析を進め、研究論文にまとめていく。さらに「ストレス状況下における利他的行動の発現に関する実験」研究の成果を国際学会で発表し、研究論文にまとめていく。 実験経済学グループでは、所得および経済損失に格差がある場合の財の配分について、これまで得られた知見と新たな分析結果を研究論文にまとめていく。これと並行して、所得にのみ格差が生じている場合の財の配分について、さらなる先行研究調査を踏まえて分析を深めていく。さらに、意思決定時点における立場の不確実性と利他的配分との関連について、研究論文にまとめていく。
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