研究課題/領域番号 |
20K03316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
樋口 収 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (50625879)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 晩婚化 / 生活史戦略 / 経済状況 / 幼少期の社会経済的地位 / 生活史理論 / 晩婚化・少子化 / 生活史論 / 少子化 / 繁殖戦略 / 幼少期の社会経済状況 |
研究開始時の研究の概要 |
日本をはじめ,先進国では出生率の低下が社会問題になっている。本研究の目的は,進化生物学の生活史理論にもとづき,出産(あるいは出産願望)を抑制する心理的要因について 検討することである。具体的には,幼少期の社会経済的地位や現在の経済状況や社会状況によって,ヒトは自己のもつ資源を(1)「子どもを作ることに投資する」よりも「自己の成長に投資する」ことを優先すること,(2)「子ども一人あたりの投資を減らして,多くの子どもを作ることに投資する」よりも「作る子どもの数を減らして 少ない子どもにより多く投資をする」ことを優先する可能性について実証的検討をおこなう。
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研究実績の概要 |
Web調査会社に依頼し,Tan et al. (2022) の概念的追試をおこなった。 まず,先行研究が大学生を対象とした実験をおこなっていることから,一都三県に住む大学生を対象にWeb実験を実施した。なお,一都三県に限定したのは,居住する地域の人口密度の影響をできるかぎり統制するためである。その結果,経済状況の主効果のみが有意で,経済状況が悪化していると知覚した時の方がそうではない時よりも,結婚を希望する時期や初子を希望する時期が遅くなっていた。しかし,予測した経済状況×幼少期の社会経済的地位の交互作用効果はみられず,仮説は支持されなかった。 次に,経済状況の操作を変更,対象も20-25歳に拡大し,さらに交際相手がいるかどうかを尋ねる形で再度同様の実験をおこなった。その結果,まず交際状況の主効果がみられ,交際相手がいる方が結婚を希望する時期や初子を希望する時期が早くなっていた。また交際状況×条件の交互作用効果が有意で,交際相手がいない場合のみ条件の主効果がみられ,経済状況が悪化していると知覚した時の方がそうではない時よりも,結婚を希望する時期や初子を希望する時期が遅くなっていた。これは,交際相手がいる場合には結婚に向けて様々な要因を考慮しやすく,生活史理論で想定される以外の要因が結婚を希望する時期に影響を及ぼすためだと考えられる。なお,この研究においても予測した経済状況×幼少期の社会経済的地位の交互作用効果はみられず,仮説は支持されなかった。 実験の結果,Tan et a. (2022) の研究結果は再現されなかった。とくに幼少期の社会経済的地位の影響は何の実験においてもみられなかった。この点については,幼少期の社会経済的地位の測定を変更する,統制変数を増やすなどして,再検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前提とする研究が再現できないこと,新型コロナの感染拡大により想定していた実験室での統制された実験ができなかったこと,身内の不幸等の理由で,当初の予定どおりに進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
まず幼少期の社会経済的地位の指標を見直し,統制変数を検討した上で,再度先行研究の実験の再現性について検討する。また環境が整えば,実験室での統制された実験を実施する。
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