研究課題/領域番号 |
20K03334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
水野 治久 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (80282937)
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研究分担者 |
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | いじめ被害感 / 援助要請 / 教師への援助要請 / SOSの出し方教育 / 小学生 / いじめ / 被援助志向性 / 研修 / 相談経路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,いじめ被害を受けた児童・生徒が,教師やカウンセラー,専門機関に相談ができ,なおかつ,相談を受けた教師が,適切な校内外の援助資源と連携しながら,いじめを解決できるようにすることをめざす。具体的には,①児童・生徒がいじめを受けたとき,どのように相談するのかについて調査を行う。そして,②教師を対象に,教師がいじめを発見したときにどのように連携するかについて調査を行う。2つの調査を踏まえ,③教師を対象にした研修プログラムを開発する。法律や答申に基づいた「いじめの解決研修」を開発・実践する。最終的には,その成果を④研修プログラム化し,スマートフォンやパソコンで閲覧可能な動画にする。
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研究実績の概要 |
研究フィールドとしているA教育委員会から,教師対象の「児童からのSOSの受けとめ方教育」及び児童対象の「SOSの出し方教育」の必要性が指摘された。そのため,令和5年度は「教師用いじめ研修プログラム」として,「SOSの受けとめ方教育」を開発した。その前提となるいじめ被害の早期解決の試みとして「SOSの出し方教育」を,小学校高学年対象に実践した。「SOSの出し方教育」は,援助要請のプロセスを紹介し,次に,事例研究から,援助要請の抵抗感を気づくように教材化した。そして,援助資源を紹介した(Hahn, et al.,2022)。5月の試行を経て,2月に公立小学校5年生(2学級)の一つの学級を実験群(20名),もう一つの学級を待機群(18名)に設定した。効果測定には,藤原ら(2016)の児童用援助要請行動尺度,及び永井・新井(2008)の相談行動の利益・コスト尺度の「ポジティブな効果因子」の項目を一部改定したものを使用した。なお,待機群については,介入群の同一の時間帯の通常の授業の前後に測定した。その結果,援助要請行動尺度得点については,介入群の介入前の平均値(SD)が2.66(0.59),介入後が2.82(0.60)であった。待機群は,事前測定が2.80(0.49),事後測定が2.93(0.50)であった。ポジティブな効果得点については,介入群の介入前が4.26(0.75),介入後が4.31(0.78)であった。待機群は,事前測定が4.40(0.64),事後測定が4.45(0.64)であった。介入群の尺度得点の変化の程度は,待機群と比較し,有意な変化はなかった。プログラムの効果は確認できなかった。教師対象の「SOSの受けとめ方教育」については,現在,教師の研修コンテンツとして開発中である。A教育委員会の小学校の担任を対象に実践をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍を経て,学校現場の状況が変化した。その変化に対応するために研究方法を再度検討した。研究機関を1年延長し,児童のいじめ被害の援助要請を促進させる取り組み(SOSの出し方教育)及び教員の児童のSOSを受け止める取り組み(SOSの受けとめ方教育)に焦点づけをして今後は研究を展開することにした。
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今後の研究の推進方策 |
A市の小学校(28校)の小学校5年生対象の「SOSの出し方教育」及び教師対象の「SOSの受けとめ方研修」を実践する。現在,連携企業であるスタンドバイ株式会社と連携しながら,実践の準備を進めている。この実践を通じて,いじめ被害児童生徒の援助要請に焦点を当てた教師用「いじめ研修プログラム」の開発につなげたい。加えて,児童対象の健康観察アプリ「シャボテン」についても引き続き導入の効果を測定し,いじめ被害の援助要請行動を検討する。児童の援助要請の促進についても考えて行きたい。
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