研究課題/領域番号 |
20K03358
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
筒井 雄二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70286243)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 原子力災害 / 心理的影響 / 放射線不安 / 発達 / 社会情動性 / 内在化問題 / ストレス / 子ども |
研究開始時の研究の概要 |
福島原発事故は,福島で暮らす母子に放射線への不安や強いストレスなど,心の影響を今も与えています。本研究では,事故直後に福島で乳幼児期を過ごした子どもに,心の発達の問題や多動性障害の問題が増えているという可能性について科学的調査により明らかにします。さらに,子どもの心の発達の問題がどんな仕組みで引き起こされているのかを調べた上で,発達支援の専門家とも研究結果を共有し,有効な対処方法について検討します。
|
研究実績の概要 |
東京電力(TEPCO)福島第一原子力発電所の事故は福島で暮らす母子に放射線への不安や強いストレスなど深刻な心理学的影響を与えてきた。我々は原発事故直後から福島で暮らす母子を対象に原発事故と関連するとみられる精神症状や放射線不安など,心理学的影響について継続して調査を行ってきた。また,それと同時に原発事故に起因するとみられる心理学的影響のメカニズムについても研究を重ねてきた。更に2014年の調査では,251組の母子を対象にした訪問調査を行い,低線量放射線汚染地域で過ごした子どもたちに社会情動性の発達を中心とした心理的発達の問題が引き起こされている可能性を指摘した。 本研究では2014年の調査で指摘した問題,すなわち,原発事故当時,福島で暮らしていた子どもたちに心理的発達や社会情動性の問題が広く起こっているのではないかという可能性を,調査研究により裏付けることを研究の主たる目的とした。 令和3年度には社会情動性の発達に関する追跡調査を実施し,令和4年度には福島県全域や他県にも調査対象者を広げて,社会情動性の発達に関する広域調査を実施した。 今年度はここまでの調査結果を分析し,原発事故当時,福島県内で暮らしていた子どもたちに不安,抑うつ,その他の心身症状など,いわゆる内在化問題行動が他県に比べて多く認められることを見出した。また,これらの研究成果を整理し,2023年9月にウィーンで開催されたWorld Congress of Psychiatry(WCP 2023)で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間中,COVID-19のパンデミックによる影響があり,調査の開始時期を遅らせた。具体的には,令和2年度に開始する予定であった調査を1年延期し,令和3年度に第一調査を実施し,翌令和4年度に第二調査を実施した。何とか令和5年度にはそれらの成果を一定程度集約し,9月に開催された国際学会で報告することができたが,それらを論文化する作業が残されている。これは研究期間をさらに1年間延長し令和6年度に実施したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長が認められたため,令和5年度までに研究成果の一部を国際学会で報告することができた。先にも書いたように,残された課題として研究成果を論文化し,原発事故に関する心理学的影響の事実を研究者に伝達する作業を遂行しなければならないと考えている。
|