研究課題/領域番号 |
20K03385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 隆之 筑波大学, 人間系, 教授 (10507742)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 性的アディクション / 性犯罪 / リスクファクター / 遅延価値割引 / サイコパシー傾向 / 認知行動療法 / 遅延価値割引傾向 / サイコパシー / 評価 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に行動的依存症への関心が高まっている。なかでも,性的アディクションは,性犯罪との関連も深く,社会的に大きな問題を引き起すため,効果的な対処が必要である。 本研究は,世界保健機関(WHO)による「国際疾病分類」(ICD-11)に新たに収載されることとなった強迫的性行動症を含めた性的アディクションを対象とし,その認知的・行動的リスクファクターについて,他の依存症と比較検討し,治療プログラムの効果の向上を目的とするものである。 治療プログラムについては,すでに認知行動療法と呼ばれる心理療法を基にしたものを開発しているが,本研究の知見を活用することで,治療効果のさらなる改善が見込まれる。
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研究実績の概要 |
性的依存症のリスクファクターについて、すでに遅延価値割引および時間的展望等に関する質問紙調査を終了し、現在統計解析中である。遅延価値割引傾向とは、目先の小さな価値を優先し、遅れて得られる大きな価値(遅延大報酬)を小さく見積もる認知傾向のことである。これまでさまざまな依存症との関連が指摘されているが、性的依存症についても同様の傾向がみられるかどうか、価値選択課題を用いた質問紙で調査したものである。性的依存症者を治療する病院、自助グループの協力を得てデータを収集することができた。解析においては、割引率を計算し、デモグラフィックやサイコパシー傾向(本課題において作成した尺度を用いて測定)との関連を分析している。 さらに、以前、性的依存症(性犯罪)リスクファクターのアセスメントツールとして、世界中で広く用いられているStatic-99の日本語版を開発したが、その論文を国際誌に公表した。日本語版Static-99は、原版と同じ10項目であり、わが国の性犯罪者に適用して1年間の再犯を観察したところ、高い予測的妥当性が認められた。性犯罪はその国の社会文化的影響を受けやすいと言われているが、リスクアセスメントに関しては、欧米と同様のツールを用いることができることがわかった。サイコパシー傾向に関する論文は、すでに完成しており、投稿準備中である。 また、海外での性犯罪および性的依存症の状況とその対策を検討するため、インドのスラムにおける性犯罪について、文献検討をし、現地NPOとともに調査を開始した。 本年度は、後半サバティカルを取得し、別の研究を並行して実施したため、終了時期を1年延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた再犯リスク調査(遅延価値割引、サイコパシー傾向)の解析を引き続き実施できた。また論文を2本完成させ、1本は国際誌に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に遅延価値割引傾向と性的アディクションの関連に関する論文を執筆し、投稿する予定である。すでに完成しているサイコパシー傾向尺度の論文は、できるだけ早期に国際誌に投稿する。海外の性的アディクションや性犯罪の問題についても、比較文化的見地からさらに調査・研究を進め、リスクファクターやアセスメント、治療についての知見を深めたい。
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