研究課題/領域番号 |
20K03395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 仙台白百合女子大学 |
研究代表者 |
中嶋 みどり 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (10412339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 原爆被害者の一生 / 心の支え / 体験の継承 / 証言者 / 伝承 / 被爆に関する伝承 / 被爆者 / 人生の支え |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの被爆者研究において、被爆地以外で生活してきた人は、被爆地を離れたことで、「言わなくても分かり合える」仲間に出会う経験に欠け、「世間話のように被爆体験も持ち出され、語り合う」と機会が持ちにくく、被爆地の復興を見てきているとは限らない。このように、仲間や心の支えをもちにくい人生を歩んできた人が、どのように考えて適応し、地域になじみ心の支えをもってきたか、明確になっていない。よって、被爆地を離れた人が求められた適応のあり方や生育歴上、この点がどのように位置づけられたかを明確にする研究である。
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研究実績の概要 |
今年度は、被爆地を離れて生活し、地域で何らかの活動をしている原爆被害者の方に活動の意義や伝えたいことを伝える工夫や、実際に行っている講演や授業についてお尋ねしたり、文献調査を行った。 国際平和拠点ひろじま構想推進連携事業実行委員会 (広島県 ・広島市)(2018)が実施したひろしま復興・平和椅築研究事業(広島の復興経験を生かすために-廃墳からの再生-第4巻)で行われた「被爆体験継承の課題:何を継承するのか」という調査報告で、多くの被爆者が期待通りに継承されていないと感じている実態が指摘されている。この点について、継承している活動をしている方々に調査したところ、同様に「ある程度伝わっていると思う」としながらも、「期待通りに継承されていないと全ての人が感じており、継承活動に試行錯誤し、苦労している実態がある。特に被爆の実相を伝えきれないという限界や情緒的に伝えてもそれがよいのかという戸惑いがあることが明らかになった。そして、こんなことは二度と繰り返されてはいけないという思いでもって活動し、継承をして、認知的に「核(兵器)廃絶」や「戦争がおこならいこと」「世界の平和」が重要と伝わっても、実際にそれを維持してくれる姿勢につながっているかという実感が持てないといったことも関与している結果が示された。 また伝えたいことを伝える工夫としては、事前学習で原爆投下の知識だけでなく、当時の生活の実態を勉強してもらうこと、情緒的に訴える面も大切だが、それ以上になぜ戦争が起きないことが大切かを知ってもらうこと、今自分にできることや考え方を伝えられること、年齢によっては科学的な影響、遺伝的影響をもとに考えてもらうことなどが上がった。 次年度は、原爆被害者の人生の支えと体験の継承とその意味について、包括的な検討と考察を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
面談調査としては多く行っていないが、文献研究に注力したため、ぎりぎり「順調に進展している」と言える程度である。しかし、次年度の研究の考察としては、貴重な調査や資料収集ができている面もあると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
被爆地を離れて長年生活してきた被爆者がどのような思いで生きてきたか、自身が被爆者であることを語るか否か、被爆地との友人とつながっていたか、被爆地をどう思ってきたかといった面を明らかにしていきたい。また、現在被爆体験を継承する活動について、どのような意味や意義をもっているか、何を伝えたいかということやそのために行っている工夫にとどまらず、今伝わらなくても、いずれわかるようになると良いのかなど、語られにくい思いや願いに焦点を当てていきたい。
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