研究課題/領域番号 |
20K03398
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
吉畑 博代 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20280208)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | リハビリテーション / 失語症 / 評価法 / 質問紙 / 評価 |
研究開始時の研究の概要 |
2004年にイギリスで開発された失語症検査Comprehensive Aphasia Test(Swinburnら、2004、以下CATと称す)がある。CATは、所要時間約1時間という短時間で、失語症者の認知機能と、聞く・話す・読む・書くという言語機能を調べることができる。また失語症当事者へのアンケート調査も含まれていて、失語症者が抱える問題を明らかにすることができる。CATは、その有効性から、現在、数ヶ国で出版済みもしくは出版計画が進められている。我々も、本邦で使用可能なCAT日本語版の作成に着手中である。本研究では、CAT日本語版の完成に向けて、実証研究を行うことを目的にする。
|
研究実績の概要 |
本研究では、イギリスのSwinburnら(2004)によって開発された失語症検査Comprehensive Aphasia Test(以下CATと称す)の日本語版(以下J-CATと称す)を完成させ、その実証研究を行うことを目的にしている。CAT原版は、大きく3部で構成されている。第1部は認知機能スクリーニング検査、第2部は言語機能検査、第3部は失語症当事者にインタビュー形式で、失語症になっての「ここ1週間」の気持ちを伺う質問紙である。J-CATは、CAT原版の構成にあわせるとともに、CATの他言語版作成のためのアダプテーションの基本方針にそって作成した。CATは、現在オランダ語版など4言語版の標準化が終了し、フランス語など約27言語での検討が進められている。 本年度は、作成したJ-CATとマニュアルを用いて、本調査を実施した。本調査先として、全国を7ブロックに分け、各ブロック数カ所の言語聴覚士らに協力を依頼し、データ収集を行ってもらった。協力施設は、計約45施設となり、失語症者約150名、健常者約50名のデータを収集することができた。失語症者に関しては、J-CATに加えて、既存の失語症検査である標準失語症検査(SLTA)の結果も提供してもらった。収集済みのデータに関して、下位検査ごとに統計処理(平均値や標準偏差などの算出)を実施した。またSLTAの結果についても分析した。 SLTA結果を利用して、収集済みの失語症データの重症度を調べたところ、今回の本調査では、軽度に偏っていることが判明した。そのため、現在、第2次データ収集として、重度~中等度のデータ収集を行っている最中である。また第2次データ収集を実施しながら、マニュアルの整備なども進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
失語症者へのデータ収集を実施し、約150名のデータを得ることができたが、データを分析した結果、重症度が軽度に偏っていることが判明した。データの質を高めるために、現在第2次データ収集として、重度~中等度の失語症者データを集めている最中である。 また、データ収集の協力先から、実施方法に関する質問がいくつか届いたため、実施方法などに関するマニュアルも整備している段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
第2次データ収集の期限を2024年7月上旬までとし、その後、集まったデータについて統計処理を実施する予定である。CAT原版と同様に、健常者データからは、平均値や標準偏差に加えて、健常者と失語症者とを鑑別するためのカットオフ値を算出する計画である。失語症データからは、急性期失語症者、慢性期失語症者、全失語症者別に、平均値や標準偏差に加えて、Tスコアを求めるための統計処理を行う計画である。
|