研究課題/領域番号 |
20K03406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
松本 有貴 徳島文理大学, 人間生活学部, 教授 (90580887)
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研究分担者 |
石本 雄真 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (90612309)
瀧澤 悠 都留文科大学, 文学部, 特任講師 (40902193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 子どものウェルビーイング / 社会性と情動の学習(SEL) / 子どものウェルビーイング尺度 / 社会的サポート認知尺度 / 感謝の介入 / ウェルビーイングダイアリー / 学級適応尺度 / SCWBS / 自記式尺度の比較文化的応用 / SEL(社会性と情動の学習) / 向社会性 / ソーシャルサポート / 情動リテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
元気で自分らしくよりよい生活を過ごす知識とスキルを教えるウェルビーイング教育(WE)を展開するために、プログラム開発・評価・推敲・普及を目的とする研究を行う。OECDは「児童・生徒のウェルビーイング」を「幸福で充実した人生を送るために必要な心理的、認知的、社会的、身体的な働きと潜在能力」と定義する。アメリカの縦断研究が、子どものウェルビーイングの向上に教育プログラムが有用だと明らかにしていることから、本邦の児童を対象に学級で実施できるWEプログラムを開発する。認知行動療法ベースの予防アプローチと比較し効果を測る。それらにより、子ども自らがよりよい生活を築く力を育むWE教育の普及システムを作る。
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研究実績の概要 |
本研究は、感謝の介入としてウェルビーイングダイアリーを小学生に実施し、子どものウェルビーイング向上を図ることを目的とする。研究協力依頼に応じた小学校のうち、介入群と待機群の2群設定の条件に合う2年生を対象にした。8週間ダイアリーを記入した介入群に、記入していない待機群に比べ、ウェルビーイングの有意な向上が見られた。また、社会的サポート認知に有意に近い向上が見られた。これらに関する研究実績として次の4点を挙げる。まず、介入による子どものウェルビーイングの向上における研究結果をまとめ、英語学術論文に投稿し査読者からのコメントに対する回答を準備している。ソーシャル・エモーショナル・ラーニングをベースとする感謝の介入であることから、Social and Emotional Learning: Research, Practice, and Policy に投稿した。次に、研究結果の学会発表では、第33回国際心理学会に抄録を投稿し受理された。2024年7月にプラハで開かれる大会にて発表する。 学術的な発表の他に、業績の3番めとして、主に子どもを支援する人を対象とする書籍を出版し、広く社会に研究結果を紹介する機会を得ることができた。感謝の介入の方法や研究について、日常生活の中で期待できる効果を共同研究者と分担してまとめている。当初はオンラインによる広報活動を計画していたが、書籍として発表する意義があると考えた。 最後に、令和5年度実施予定であった国際共同研究の進捗である。オーストラリアの小学校などにおいてデータを収集するためにはオーストラリアで倫理申請を行う必要があり、共同研究者とともにその申請の準備を行っている。時間がかかるため、2回目の延長を行った。日本語と英語の教材の検討やデータ収集の方法については話し合うことができている。 最終年度となる次年度で、論文、書籍、国際共同研究を終了する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間を延長したことにより、研究成果をソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL)の学術誌に投稿できるようにまとめることができた。また、第33回国際心理学会においても発表抄録が受理された。一般書籍としてまとめ、研究結果を広く告知する機会を得ることができた。目標としてきたオンラインによる普及活動よりも、一般書籍化による普及により大きな効果があると期待している。 しかし、令和5年度の目標であった国際共同研究においては、オーストラリアにおける倫理申請が遅れているため、実施することができなかった。それでも、共同研究者が来日した期間に、日英の教材と研究方法を検討することができているので、倫理申請が通れば、すぐに取りかかる準備ができている。 感謝の介入データの分析が終了し、研究成果を、当初の計画通り英語学術誌と国際学会で発表するが、SEL学術誌に投稿できたこと、国際心理学会で発表できることなど予想以上に成果を達成できている。さらに、研究内容と成果を書籍化できること、国際共同研究においてウェルビーイングダイアリーの効果を調査できることは、当初の計画より発展的な成果である。ただ、本年度中に終了することができなかったため、もう一年研究期間を延長する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の社会的還元に関しては、英語学術論文は、査読結果を受け、修正や加筆を行い、再投稿する。受理されている第33回国際心理学会で発表する。 書籍の完成まで遂行を重ね出版する。心理学の知見から感謝、感謝の介入のメンタルヘルスにおける効果を分かりやすく紹介し、本研究の意義、目的、内容、成果を発表する。 国際共同研究は、倫理申請の受理を待って、データ収集に取りかかる。 以上4点ともに進行中であり、次年度に完了する予定である。
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