研究課題/領域番号 |
20K03413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
牧 郁子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70434545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 小学生 / 中学生 / 無気力感 / 尺度 / 発達段階 / チェックリスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では現在,学歴期の子どもにおいて看過できない問題となっている不登校・うつ病・若年層自殺の予防を鑑み,これらと関連する登校行動への意欲低下・心身の意欲低下・生きる動機づけの低下といった子どもたちの無気力状況を反映させた,小学生・中学生共用の無気力感尺度を作成する。さらに先行研究で実証された無気力感の構成要因における小学生・中学生共用尺度も併せて開発し,不登校・うつ病・若年層自殺のリスクに関連する無気力感の,発達段階的構造の違いを明らかにする。そして検証された発達段階別の無気力感構造に基づき,家庭や学校で簡便に実施できる発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシートの開発・効果検討を行う。
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研究実績の概要 |
1.発達段階別・無気力感パターンの検討 小学生・中学生共用版尺度を用いて,校種別における無気力感のパターンを検討した。その結果,両校種とも,低無気力型,気力・行動意欲低下型,抑うつ状態型の3パターンが認められた。低無気力型は保護者との情動交流,コーピング・エフィカシー,随伴経験が平均値より高く,また非随伴経験・思考の偏りが平均値より低いことが認められた。気力・行動意欲低下型は,保護者との情動交流,コーピング・エフィカシー,随伴経験が平均値より低いことが認められた。一方,抑うつ状態型は,非随伴経験・思考の偏りが平均値より高いことが認められた。以上から,無気力感の質的な違いによって,その介入方法が違う可能性が示唆された。そしてその人数を確認したところ,小学生は低無気力型=126,気力・行動意欲低下型=158,抑うつ状態型=76という結果となり,一方中学生は無気力型=173,気力・行動意欲低下型=160,抑うつ状態型=27という結果となった。以上から,小学生の方が中学生よりも抑うつ状態型の人数が倍以上となり,子どもの無気力感への早期対応の必要性が示唆された。 2.発達段階別・無気力感構造の追加検討 小学生・中学生共用版尺度を用いて,校種別における無気力感の構造をさらに検討した。その結果,小学生はポジティブ情動の送受信・ネガティブ情動の子ども送受信が随伴経験とコーピング・エフィカシーを経由して気力・行動意欲の低下に負の影響を与える経路と,非随伴経験が思考の偏りを経由して抑うつ状態につながる経路とが,比較的独立して作用している可能性が示唆された。一方中学生は,ポジティブ情動の送受信・ネガティブ情動からの非随伴経験へのパスと,随伴経験から非随伴経験からのパス,そしてコーピング・エフィカシーが思考の偏りにつながるパスが認められ,2つの経路が影響しあって作用している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた校種別の無気力感パターン分析と,無気力感構造のさらなる分析まで進めることができたが,それらの結果に基づく発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシート項目案の策定および内容妥当性の検討まで進めることはできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシート項目案の策定:R5までのデータ解析結果に基づき,発達段階の違いを考慮した無気力感予防チェックシート項目案を策定する予定である。 2.無気力感予防チェックシートの内容妥当性の検討:策定した項目の内容妥当性のチェックを,小学校・中学校教師に依頼する予定である。 3.無気力感予防チェックシートの実施と効果検討:保護者・教師にチェックシートを実施し,自由記述調査により効果検討を行う予定である。
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