研究課題/領域番号 |
20K03415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
成瀬 九美 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (90193581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自己身体認知 / 身体表象 / 児童期 / メンタルローテーション課題 / 棒回転課題 / 運動・認知課題 / 生体力学的制限 / メンタルローテーション / 把握動作 / 棒把握課題 / 自他身体認知 / 発達 / 共感性 |
研究開始時の研究の概要 |
自他の区別は視覚的な情報と自己受容感覚の照合と両感覚間の随伴関係を自分が認めることによる.他者と同じ感情状態になる共感の現象において,自他を区別する力や感情の由来を内省する力が情動感染との異なりに気づかせて被影響性を弱める. 本研究は,幼児後期から児童期にかけての運動性を通した自己存在の確立,すなわち身体自我の形成に着目する.複数の運動・認知課題を用いて遂行状況を分析し,身体認知の発達ならびに共感性との結びつきを考察する.
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研究成果の概要 |
我々は運動性によって自己身体と外界とのつながりを認識し,身体表象を形成する.本研究では,身体構造の生体力学的制限が関与する実験課題(手足・表裏部位を刺激とするメンタルローテーション課題、棒を握り回転操作する棒回転課題)を用いて,対象児の遂行を分析した.5歳児(棒回転課題)の利き手の影響は調整方略の違いとして得られた.1年生(MR課題)の身体表面部位に対する正答割合は他学年よりも低く,4年生は視覚的・運動的に馴染みのない角度に対して他学年とは異なる方略で遂行した.動作志向型(action-oriented)の身体表象は5歳から10歳頃にかけて形成されることが示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
コロナ禍以降,バーチャルテクノロジーは飛躍的に進歩した.この著しい社会環境の変化のなかで,身体的自我境界が曖昧になることが懸念される.本研究の測定に用いた手首や前腕の回内/回外を伴う運動課題は,身体構造の生体力学的制限の影響を感受し遂行する必要がある.年齢ごとの遂行方略の特徴が得られ,自己身体認知の発達に関わる運動課題としての有用性が示された.特に,視覚情報(棒の傾き)と身体感覚(前腕の捻じれ)の統合を必要とする棒回転課題は,身体的/認知的要素の両面から自己調整のありようを把握できるため,遂行状況を追跡し,その変容過程を支援に活かすことができる.
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