研究課題/領域番号 |
20K03449
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
齋藤 梓 目白大学, 心理学部, 准教授 (60612108)
|
研究分担者 |
岡本 かおり 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (20736425)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 性暴力被害 / 強直性不動反応 / 犯罪被害 / トラウマ / Tonic immobility / 被害者支援 / 男性の性暴力被害 / 援助要請行動 / 被害者心理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は「性被害に直面した際に、被害者はなぜ抵抗や逃走ができないのか」について、「被害者が抵抗や逃走が困難になる心理メカニズム」および「被害者の抵抗や逃走を妨げる状況要因」を明らかにすることである。本研究では、質問紙調査やインタビュー等を通して、「抵抗できない」状態の発生割合、抵抗を妨げる状況要因、「抵抗できない」状態が被害後の精神的状態、援助要請行動へ与える影響、被害当事者の主観的体験から捉えた、抵抗や逃走が困難になる心理メカニズムを明らかにする。本研究によって抵抗や逃走を困難にする要因を多角的に検討することは、性被害に対する社会や司法の誤解を是正する一助となると考えられる。
|
研究成果の概要 |
本研究の結果、被害者が抵抗や逃走が出来ない状態として、身体が動かなくなる強直性不動反応のみならず、相手に合わせるような言動を行う迎合反応や、相手に従う行動をとる従順反応の存在が示唆された。それらが生じる背景として、強直性不動反応や迎合反応には暴力等の恐怖が、従順反応には、相手を信用している気持ちや相手に嫌われたくないという心理などが関係している可能性が考えられた。さらに、特に性的マイノリティが被害者の場合、社会に存在するジェンダーやセクシュアリティに関わる意識が、被害を発生しやすくしたり、被害者の抵抗を抑圧したり、二次的被害を発生しやすくしていることが考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
性暴力被害においては、「なぜ逃げなかったのか」「抵抗しなかったのだから同意があったのではないか」などの被害者非難が発生しやすい。本研究の結果、性暴力被害では、恐怖により身体が動かなくなる強直性不動反応、さらにひどい目に合わないために相手に合わせる迎合反応や従順反応など、様々な反応が生じていることが示唆された。また、ジェンダーやセクシュアリティに関する社会の認識が、被害者の抵抗を抑圧する可能性も考えられた。 こうした様々な反応や抵抗を妨げる背景要因は、これまで、実証的研究ではあまり言及されてきておらず、本研究の結果は、社会における性暴力被害の誤った認識を改める一助となると考えられる。
|