研究課題/領域番号 |
20K03455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
奥野 雅子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (60565422)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スピリチュアルケア / 死生観 / 心理臨床家 / 仏教者 / 仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、心理臨床家と仏教者が、臨床心理学と仏教というそれぞれの専門性を表出する際に、また相互影響や役割について検討し、クライエントを支援するために有効な対応あり方に対し提言を行う。 まず、心理臨床家の宗教的な事象への態度やスピリチュアリティに対する考え方を明らかにし、それが心理臨床家の行う心理的な支援にどう影響するか、また、仏教者の心理的支援のあり方を検討する。さらに、心理臨床家と仏教者の人間への支援についてその重なりと差異を検討する。 心理臨床家の宗教に対するどのような態度が心理支援を行う上で効果的かについて、心理臨床家と宗教者の心理的支援における役割や連携のあり方について報告する。
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研究実績の概要 |
スピリチュアルケアは、主に心理臨床家と宗教者によって行われる支援であり、生きる意味や目的について苦悩している人々が対象になる。本研究では、宗教の中でも日本の伝統仏教13宗の仏教者に着目し、スピリチュアルケアにおける心理臨床家と仏教者の役割と連携可能性について検討することを目的としている。 スピリチュアルケアは終末期の患者に行うことが多く、近い将来死を迎える患者とその家族との対話を通して支援することになる。そこでは、終末期の患者やその家族の死に対する考え方や態度に焦点を当てることになる。それは「死生観」と呼ばれる概念であり、心理臨床家や仏教者自身も、個人の死生観を有している。患者やその家族との対話において、援助者のもつ死生観が援助のあり方に影響を及ぼすことが考えられる。 当該年度では、心理臨床家200名を対象に「死生観」を調査し、その死生観が援助に与える影響を検討した。その結果、心理臨床家が死を未知なものと捉え、死に対する考えを固定しないことで援助意識が高まることが示唆された。この結果を踏まえ、論文執筆を行った。2024年度では、この結果を学会発表するため、すでにエントリーしている。 さらに、伝統仏教13宗の僧侶120名を対象に、「死生観」を調査し、その死生観が援助に与える影響を検討した。その結果、仏教者では死を「浄福な来世」と捉えることによって、援助意識が高まることが示唆された。仏教者は心理臨床家とは異なる死生観をもつことが示されたことになる。これらの結果より、心理臨床家と仏教者はスピリチュアルケアにおいて異なる役割を担う可能性が明らかになった。当該年度でこの結果は論文執筆を行ったが、現在、校正中であり、2024年度に論文掲載となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では、ポストコロナとなり、学会も対面も含めたハイブリッド開催に移行してきたため、調査を再開することはできた。 しかしながら、大学において管理職を拝命し、その役職が継続となたっため、多くの時間を大学運営や会議の出席に割かなければいけない状況となった。そのことで、多くのエネルギーを要する事態となった。 研究の進捗状況としては遅れてはいるものの、調査研究2件と論文執筆1件を行うことができたことで少しずつ進めることができているという状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に行った調査会社に依頼したインターネット調査の結果を心理臨床学会と家族心理学会で口頭発表を行う。それぞれは、心理臨床家を対象とした調査と、僧侶を対象とした調査である。 今後は、この調査の結果を総合して、心理臨床家と僧侶の差異を検討するために再分析を行う予定である。それ等の結果を基に学会発表と論文執筆を行う。 さらに、当該年度に行った僧侶への調査は、調査協力者が当初の予定より少なかったため、僧侶が用いるスピリチュアルケアのあり方についてさらなる調査を実施する。
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