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急性期病院での高齢患者のせん妄の早期発見・介入を目指した心理的支援モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K03458
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10030:臨床心理学関連
研究機関金沢大学

研究代表者

水上 喜美子  金沢大学, 医学系, 助教 (00387408)

研究分担者 高橋 哲也  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワードせん妄 / 高齢者 / 精神科リエゾンチーム / 家族支援
研究開始時の研究の概要

せん妄に対応するためには、多職種チームによる介入の重要性が強調されているが、チームにおける心理職の役割は十分に確立しているとは言い難い。本研究では、まず、せん妄を評価する心理アセスメントに脳波測定を導入し、その可能性について検討することを目的とする。次に、せん妄は患者だけでなく、その家族への影響も大きいことから、家族を含めた心理的支援のあり方について検討することとする。これらのことが明らかになれば、今後、せん妄対策に多職種で取り組む際に、心理職の専門性を発揮した対応ができ、患者の状況にあわせた医療を提供することができるだろう。

研究実績の概要

せん妄は、医学的には、何らかの身体的要因で軽度の意識障害が生じ、周りを認識する能力が落ちている状態と定義されている。Panksepp(2004)は、臨床神経科学と意識障害の研究の両方で、せん妄の神経科学的基盤に関する研究は不思議なほどに軽視されてきたと述べている。この理由の一つとして、脳の構造的な異常によってせん妄が生じるわけではないことが挙げられる。近年、脳機能に関わる画像研究などが発展し、脳ネットワークの接続性の変化がせん妄の原因であるということが指摘されるようになってきている(Sanders,2011:Rapazzini,2016)。また、Maldonado(2018)は、これまでの理論を踏まえて、The systems integration failure hypothesis (SIFH:システム統合不全説) といった新たなパラダイムでせん妄に特徴的な様々な認知・行動機能障害を説明しようと試みている。つまり、せん妄発症のリスク因子を明らかにするためには、病態生理の理解が望まれる。
今年度は、高齢期の患者を対象に、臨床場面でせん妄の診断時に測定された脳波記録を用い、脳波記録の抽出した。対象は65歳以上の高齢者とし、期間は2018年4月~2022年8月であった。脳波測定を実施していた事例は377例であり、せん妄の鑑別のために、脳波測定を実施していたのは31例であった。このうち15例は身体科の患者であり、リエゾンチームが介入していた。現在、脳波データの解析を進めており、脳のネットワークにどのような特徴があるのか検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

倫理委員会の審査に時間がかかり、計画通り進めることが難しかった。また、1月に起きた能登半島地震の影響により、研究活動を実施することが難しかった。

今後の研究の推進方策

2024度は、昨年度に引き続き、臨床場面でせん妄の診断時に測定された脳波記録の解析を実施し、脳のネットワークにどのような特徴があるのか検討する予定である。また、せん妄時にどのような介入やケアがなされていたのかを分析する。これらのことが明らかになれば、せん妄の発症や遷延化を防ぐことに繋がり、せん妄の予防と管理の方法をより良く構築していくことができるようになると考えられる。患者の身体状態の悪化、その後の認知機能低下や QOL 低下の防止、家族の負担度や医療スタッフの困難度の軽減等に貢献することが期待される。
さらに、研究を進める中で、終末期患者に生じる回復できないせん妄、終末期せん妄(terminal delirium,terminal agitation)についても、リエゾンチームに薬剤調整の依頼があることが分かってきた。終末期において、低酸素血症、肝不全などの臓器障害が原因で意識障害に基づく精神障害を生じることは多いとされており、終末期に生じるせん妄の治療については、死に至る通常の過程の一部であって、修正するべきではない(Breitbart,2010)という指摘もある。終末期せん妄の実態についても検討できれば、終末期ケアの方法を確立する一助になるだろう。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Enhanced temporal complexity of EEG signals in older individuals with high cognitive functions2022

    • 著者名/発表者名
      Yuta Iinuma, Sou Nobukawa, Kimiko Mizukami, Megumi Kawaguchi, Masato Higashima, Yuji Tanaka, Teruya Yamanishi, Tetsuya Takahashi
    • 雑誌名

      Frontiers in Neuroscience

      巻: 16 ページ: 1-10

    • DOI

      10.3389/fnins.2022.878495

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 金沢大学附属病院における精神科リエゾンチームの取り組み2021

    • 著者名/発表者名
      水上喜美子,中村ゆきえ,坪内清貴,谷和之,畠稔,金田礼三,菊知充
    • 雑誌名

      北陸神経精神医学雑誌

      巻: 35 ページ: 59-66

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 救急医療領域における心理職に求められる役割2023

    • 著者名/発表者名
      水上喜美子
    • 学会等名
      日本集中治療医学会第7回東海北陸支部学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 金沢大学附属病院における精神科リエゾンチームの活動について(3)-高齢期のせん妄に着目して-2022

    • 著者名/発表者名
      水上喜美子・中村ゆきえ・坪内清貴・谷和之・畠稔・内藤暢茂・菊知充
    • 学会等名
      第35回日本総合病院精神医学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 金沢大学附属病院における精神科リエゾンチームの活動について(1)2021

    • 著者名/発表者名
      水上喜美子,中村ゆきえ,坪内清貴,谷和之,畠稔,金田礼三,菊知充
    • 学会等名
      第34回日本総合病院精神医学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 金沢大学附属病院における精神科リエゾンチームの活動について(2)-せん妄に着目して-2021

    • 著者名/発表者名
      中村ゆきえ,水上喜美子,坪内清貴,谷和之,畠稔,金田礼三,菊知充
    • 学会等名
      第34回日本総合病院精神医学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 精神科リエゾンにおける高齢患者の特徴について 高度急性期病院からの報告2021

    • 著者名/発表者名
      水上喜美子、中村ゆきえ、坪内清貴
    • 学会等名
      老年臨床心理学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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