研究課題/領域番号 |
20K03460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
河野 美江 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 教授 (20506472)
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研究分担者 |
武田 美輪子 島根大学, 地域包括ケア教育研究センター, 特例研究員 (70750644)
執行 三佳 島根大学, 保健管理センター, カウンセラー (90790379)
猪口 かおり 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 特任講師 (30967063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 性暴力被害 / 大学生 / 回復 / 支援マニュアル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、我が国において大学生が性暴力被害者となる事件が社会問題になっている。被害者は望まない妊娠や性感染症のリスクのみならず精神的に強いストレスを受け、その後の生活に大きな支障をきたす。 我々が行った大学生の調査によると、「身体を触られる」以上の性暴力被害経験は42.5%に、レイプ被害経験は2.6%にあり、性暴力被害経験のある学生は被害経験のない学生に比べ精神健康度が有意に悪く、性暴力被害はメンタルヘルスに深刻な影響をもたらしていた。本研究では、性暴力被害を受けた学生が安心して支援が受けられるように、大学の学生相談機関における性暴力被害学生に対する支援モデルを構築し、今後の運用の基盤とする。
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研究実績の概要 |
本邦において、大学生が性暴力被害者となる事件が問題となり、大学での被害学生に対する支援が必要とされている。2022年度は性暴力被害を受けた学生の「回復」を促す支援を明らかにすることを目的とし、2つの研究を行った。 ①性暴力被害学生の対応経験がある学生相談機関の支援者10名に対しインタビュー調査を実施し、計量的テキスト分析により分析を行った。被害からの回復に有効だったこととして【被害学生の心理を理解した教員の対応】【被害学生対応と加害者対応がスムーズに進む】【支援者全員で対応できる環境】【適切な支援者への紹介と連携】【支援者のアウトリーチを含む支援】【教務・学生課による支援】のカテゴリが生成された。支援者が部署内の他の支援者と話し合いや役割分担ができる良好な関係にあること、学内の教職員が被害学生を理解し支援すること、支援者が学内外の相談機関やワンストップ支援センター等の情報を被害者に提示し被害者自らが支援を選べること、が支援者にとって支援を行う上で有効であった。以上の内容を日本学生相談学会で発表、論文執筆し、採択された。 ②全国の学生支援機関において学生支援に携わる支援者(医師、保健師・看護師、カウンセラー、教職員等)に、無記名オンライン調査を行った。回答に同意した286名を分析対象としたもので、全国大学メンタルヘルス学会で発表し、論文を投稿した。 ③これらの研究成果をもとに、「性暴力被害を受けた学生に対する支援」について、本の執筆および数カ所の大学において学生対象、教職員対象に研修会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたインタビュー調査、アンケート調査が終了し、2つの学会発表、論文を執筆し、1つの論文が採択された。最後の1年でマニュアル作成を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に行った研究より得られた考察をもとに、性暴力被害者の「回復」を促す支援モデルを提起した。今年度は、支援マニュアルを作成し配布するとともにWebで公開する予定である。
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