研究課題/領域番号 |
20K03463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 比治山大学 (2021) 岩手県立大学 (2020) |
研究代表者 |
堀内 聡 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20725999)
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研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (00454918)
岩野 卓 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (30782453)
瀧井 美緒 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (50846318)
青木 俊太郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60786416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ストレスマインドセット / ストレスのメリット / コロナウイルス感染症 / ストレスの肯定的効果 / ストレスマネジメント / 集団的アプローチ / 漫画動画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ストレスマインドセットを変容するための漫画動画を開発し、評価研究として、積極的に募集された大学生を対象とした漫画動画を用いた介入の参加率と有効性を評価するランダム化比較試験を実施する。ストレスマインドセットは、ストレスが健康や生産性に対して肯定的、または否定的に影響するという、ストレスの影響性に対する全般的な捉え方のことである。日本では、ストレスマネジメントの集団的アプローチが不足しており、その充実が望まれる。集団的アプローチは、集団を対象として、ストレスによる問題の予防や健康開発を目指す。本研究は、日本における集団的アプローチの発展に貢献することを意図している。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝され、それに伴い質が異なるストレスの肯定的な効果を経験している可能性がある。令和3年度は、大学生が経験しているストレスとその肯定的な効果に関するエピソードを引き続き収集した。18歳から24歳の大学生420名を対象としたオンライン調査を2022年1月30日から2月1にわたって実施した。420名のうち、男性と女性はそれぞれ210名であった。参加者の居住地域は、関東地方(42.1%)、近畿地方(21.4%)が多かった。コロナウイルス感染症の影響性に関して、コロナウイルスの影響で対面授業がない期間があったと回答した参加者は63.3%であった。部活動をしている参加者は137名であり、コロナウイルスの影響で部活動の自粛を求められたり、活動を禁止されたりした期間を経験したのは71.5%にのぼった。また、サークルに属している参加者は120名であり、コロナウイルスの影響でサークル活動の自粛を求められたり、活動を禁止されたりした期間を経験したのは56.7%にのぼった。大学生が経験しているストレスは、313名から回答が得られた。このうち、45名(14.4%)からはコロナに関連するストレスについての回答が得られた。主な内容は学校に行けないこと、友人に会えない/友人を作れないこと、部活動や課外活動などが制限されたことが挙げられていた。ストレスのメリットについては、これまでに認められていた6つの効果(ストレス耐性の上昇、他者との関係の深化、自分や他者に関する気づき、スキルの獲得、成功体験)とほとんどが同じであった。新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝されているものの、ストレスの肯定的な効果はコロナに関連するストレスとそうでないストレスで大きく異ならない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、前年度に引き続き、漫画動画を利用したストレスマネジメント介入プログラムの作成に向けた準備として、ストレスの肯定的な効果に関するエピソードを集める作業を進めることができた。新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝され、それに伴い質が異なるストレスの肯定的な効果を経験している懸念が生じたからである。特に420名という比較的多数の大学生を対象とした調査を行い、ストレスの肯定的な効果はコロナに関連するストレスとそうでないストレスで大きく異ならないという重要な示唆を得ることができた。その意味では、「予定通り進行している」という評価でもよいと思われる。しかし、研究計画を立てた際の予定と比較すると遅れていることは事実であり、あえて「やや遅れている」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝されている可能性があったため、新しいストレスをコンテンツに含めるべきかを検討する必要があると考え、あえて調査を行った。新型コロナウイルス感染症の流行により、新しいストレスに曝されている大学生は約15%いるものの大多数ではないこと、ストレスの肯定的な効果に関しては、コロナに関連しないストレスのそれと大きく変わらないという重要な示唆を得た。これまでに収集したエピソードを検討して、漫画動画のコンテンツ作成の段階に進む。研究課題は順調に進めることができている。新型コロナウイルス感染症の流行によって大学生の生活が大きく変化したことにより追加で検討するべき事項が生じたこと、研究代表者の所属先の変更というイレギュラーな状況が生じたことを鑑みて、研究期間を1年間延長して対応する。
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