研究課題/領域番号 |
20K03464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
中澤 良子 (大場良子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80381432)
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研究分担者 |
羽鳥 健司 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (10458698)
飯岡 由紀子 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 教授 (40275318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | AYA世代 / 婦人科がん体験者 / 女性性の危機 / 再適応過程 / 再適応 / 女性性 / 因果モデル |
研究開始時の研究の概要 |
生殖年齢にあたるAYA世代の婦人科がん体験者は、妊孕性だけでなく、セクシャリティー、卵巣欠落症候群、リンパ浮腫等の影響によりQOLは著しく低下し、女性としての生き方に大きな影響をもたらす。そのため、AYA世代の婦人科がん体験者に対する 女性性の支援は急務である。そこで、本研究ではAYA世代婦人科がん体験者が知覚する女性性の危機意識の構造と女性性の危機を低減するための肯定的心理資源(本来感、自尊感情、楽観性、希望、ポジティブ感情など)および支持要因(人的・環境的資源など)を解明し、再適応を促す因果モデルを検証する。実証的研究で得られた因果モデルに基づいて心理社会的支援プログラムを検討する
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,AYA世代婦人科がん体験者が知覚する女性性の危機意識の構造と女性性の危機を低減するための肯定的心理資源および支持要因を解明し、再適応を促す因果モデルを検討することである。さらに,実証研究で得られた因果モデルに基づいて,心理社会的支援プログラムを検討することである。 2023年度は,量的調査の解析を進め,婦人科がん体験者固有の女性性の危機意識尺度を作成し,信頼性および基準関連妥当性を検討した。また,女性性の危機意識の規定要因の明確化と,女性性の危機と再適応の因果モデルを検証した。女性特有がんのサポートグループに会員登録しているがん体験者 448 名に対し,調査票を配布し,140部を回収した。分析対象者は,乳がん体験者を除いた婦人科がん体験者 116 名のみとした。婦人科がん体験者の女性性の危機意識尺度は,「女性的身体像の喪失危機」,「妊孕性の喪失危機」,「女性らしさの喪失危機」,「パートナーとの接触懸念」の4つの因子で構成され,高い信頼性と基準関連妥当性が確認された。女性性の危機意識の規定要因には,診断時の年齢,がん治療後の経過期間,パートナーの有無,子どもの有無,診断時の月経状況,相談できる医療者の有無が影響していた。女性性の危機と再適応の因果モデルの検討では,「女性的身体像の喪失危機」は,「本来感」を抑制し,心理的 well-being の「自律性」,「自己受容」,「人生の目的」,「環境制御力」を抑制していた。「妊孕性の喪失危機」は「社会的比較志向性」を促進し,「自律性」や「自己受容」を抑制していた。婦人科がん体験者における「ピアサポート機能」や対処方略の「問題解決・サポート希求」や「肯定的解釈・気そらし」は,本来感や心理的 well-being と関連が示され,再適応を促進する要因であることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
婦人科がん体験者を対象とする量的調査では,回収率があがらず,回収期間を延長するなどして対応した。本研究の目的を達成するために必要な調査対象者数の確保が難しく,各世代の対象数,子どもやパートナーの有無といった属性を考慮した因果モデルの検証をすることが課題となった。 また,調査はすべて終了しているが,これまでの質的調査と量的調査の結果を統合したうえで,婦人科がん体験者の心理社会的支援プログラムを作成,試行,評価することが残された課題であり,予定の研究期間を延長する必要性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでの質的調査と量的調査の結果を統合したうえで,婦人科がん体験者の心理社会的支援プログラムを作成,試行,評価することが残された課題である。当初の目的では,プログラムの試行と評価までを行う予定であったが,延長申請期間内での達成を考慮すると,最終年度は,心理社会的支援プログラム案の作成までと変更して,これまでの研究成果を関連学会や論文として発表していくことを目標とする。
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