研究課題/領域番号 |
20K03473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
榊原 雅人 愛知学院大学, 心理学部, 教授 (10221996)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 心拍変動 / 圧受容体反射 / 心拍変動バイオフィードバック / ペース呼吸 / 自律神経活動 / 圧受容体反 / 皮質活動 / 随伴性陰性変動 / ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
心拍変動(heart rate variability: HRV)を増大させる技法(HRV biofeedback)は自律神経障害を含むさまざまな心理生理的症状を緩和し、これらに共通する抑うつや不安症状の改善に成果を上げている。HRVの増大訓練は圧受容体反射(自律神経系ホメオスタシス機能)を刺激することで効果を発揮すると考えられているが、一方で皮質活動に及ぼす効果については詳しく調べられていない。本研究は週1度のHRV増大訓練を4週間実施し(日常訓練も含む)、この前後で皮質活動に変化が生じるか検証する。ストレスの緩和にHRV増大が有用であることを実証的に裏付けることで治療的な応用可能性を示す。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究の推進方策に沿って次の3点に取り組んだ。 1) 時間評価課題の設定:時間評価課題の実行プログラムを作成し調整を行った。これにより,皮質活動を反映する刺激先行陰性電位(stimulus-preceding negativity: SPN)を測定する準備を整えた。 2)共鳴周波数の検索法の見直し:心拍変動の増大に寄与する「個人の共鳴周波数」については,これまでに心拍変動の低周波成分のピーク周波数情報を用いて評価してきた。しかし,一部の分析結果に不安定な挙動が確認されたため,共鳴周波数の検索方法について見直しを行った。ここでは呼吸統制に必要な周波数を徐々にスライドさせて呈示する手順を採り,大学生および成人参加者13名の心拍変動低周波成分パワーを観察した。ペース呼吸の周波数と低周波パワーの対応関係を詳細に分析したところ,いずれの参加者もある特定の周波数において著明な心拍変動の増大を示したことから,これを個人の共鳴周波数として評価した。この際,共鳴周波数は個人の身長と中程度の相関(r=-.529)を示した(ただしp<.1)(2024年度発表予定)。 3)継続的な心拍変動の増大訓練:継続的な心拍変動の増大訓練が自律神経および皮質活動に及ぼす影響について検討を開始した。現在のところ3名の分析であるが,共鳴周波数によるペース呼吸を踏まえた心拍変動の増大訓練を2週間実施したところ,圧受容体反射感度からみた自律神経(副交感神経)活動は訓練終了時点で顕著に増加する傾向がうかがわれた。しかしながら,刺激先行陰性電位(SPN)の変化に一定の傾向はみられなかった(2024年度発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初よりコロナ禍の影響を受け,実験参加者を募集してデータを収集する過程において大きな遅れが生じた。また,若干の測定プロトコルの変更があり,調整等に時間を必要とした。2023年度は通常に近い態勢で実験参加者を募集しデータの測定等が行えるようになったが分析に必要なデータ量に達していない。このため,研究期間をさらに延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,継続的な心拍変動訓練が自律神経と皮質活動に及ぼす影響について実験的検討を行う。今後,十分な量のデータを収集し分析を行う予定としている。
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