研究課題/領域番号 |
20K03493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
阿部 高志 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (00549644)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | レム睡眠 / 意思決定 / アイオワ・ギャンブリング課題 / 高密度脳波計測 / pre-REM negativity / 腹内側前頭前野 / 脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
情動に関わる脳部位は,選択の帰結があいまいな状況下での意思決定において,長期的に有利となる選択にバイアスをかける働きがあると考えられている。また,レム睡眠中には情動と関わる脳部位が活性化される。レム睡眠時と意思決定時の脳活動の類似性から,「意思決定状況の記憶がレム睡眠中に再処理されることで,生体にとって長期的に有利となる選択をするように判断にバイアスがかかる」という仮説を立てた。本研究では,この仮説を検証するための研究を実施する。
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研究実績の概要 |
不確実状況下における意思決定には、腹内側前頭前野や扁桃体が関与することが知られている。これらの脳内領域はレム睡眠中の急速眼球運動前に発生する脳電位(pre-REM negativity, PRN)の発生源と同じである。活動領域との類似性から、レム睡眠中の扁桃体や腹内側前頭前野の活動は、長期的に有利となる選択をするように判断にバイアスをかける機能がある可能性が考えられる。この仮説を検証するために、二つの実験をこれまで実施してきた。 (1)日中の仮眠中のレム睡眠が意思決定課題の成績に及ぼす影響を検討した。意思決定課題にはIowa Gambling Task(IGT)を用い、仮眠/休憩前後に実施した。健常成人114名のデータを解析した。レム睡眠の出現の有無で仮眠群をREM(+)群53名とREM(-)群25名に分けた。覚醒群は36名であった。IGTの課題成績について、REM(+)群のみ、総獲得ポイント数が仮眠に増加していた。REM(-)群および覚醒群では成績向上は生じなかった。レム睡眠は意思決定課題の成績向上に関与している可能性が示された。 (2)本研究では128ch高密度脳波計を用いて、就寝前のIGTがレム睡眠中の脳活動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。本研究は、12名を対象として実験条件と統制条件のクロスオーバー比較を行った。実験条件では睡眠前後にIGTを実施した。統制条件では、獲得ポイントや損失ポイントがない統制課題を実施した。実験条件のIGTの成績は睡眠後に向上していた。また、実験条件では統制条件と比べて急速眼球運動数や急速眼球運動頻度が有意に増加していた。一方、PRN振幅やPRNの発生源に条件間の差は認められなかった。就寝前のIGTは急速眼球運動数のみを増やし、急速眼球運動関連脳電位の大きさは変化させずに活動の頻度を増加させた可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験を完遂した。
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今後の研究の推進方策 |
意思決定課題中の皮膚コンダクタンス変化の解析を実施することで、レム睡眠が意思決定に関わる家庭のどこに影響を及ぼしているのかを検討する。また、これらの成果を国際紙に投稿する。
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