研究課題/領域番号 |
20K03501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
阿部 晶子 国際医療福祉大学, 大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 言語聴覚分野, 教授 (60250205)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 左半側空間無視 / 左無視性失読 / 視線解析 / return sweep / 行頭の手がかり / 行頭の文字表記 / 空間性短期記憶 / 文の配置 / 文の構造 / 無視性失読 / 改行位置 / 縦書き文 / 視線計測 / 横書き縦書き / 読字方略 |
研究開始時の研究の概要 |
右大脳半球の脳血管障害後に生じる高次脳機能障害の代表的なものに左半側空間無視がある。左半側空間無視患者は日常生活活動上の問題を呈するほか、左無視性失読と呼ばれる文章や単語の左側を読み落とす症状を呈する。左無視性失読に関しては、欧米語の単語レベルの研究が数多く行なわれているが、文章レベルの研究は少ない。本研究は、①日本語の横書きおよび縦書き文章にみられる無視性失読の特徴と発現に関わる要因は何か、さらに、②無視性失読の改善にどのような手がかりが有効かを、視線計測の手法を用いて明らかにすることを目指すものである。
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研究実績の概要 |
左半側空間無視患者では、横書き文を読む際に行頭文字の読み落とし(左無視性失読)を認めることがある。健常者では横書き文の改行時、return sweep(行かえ)と呼ばれるサッケードが行末から行頭近くに達するのに対し、左半側空間無視患者ではreturn sweepが行頭よりも右側で終わることが知られている(Karnath & Huber, 1992)。本研究の目的は、①左空間無視患者における横書き文の改行時の眼球運動の特徴、②改行時の眼球運動に影響を与える要因、③文の行頭の探索を困難にする要因を明らかにすることである。2023年度は、研究代表者の体調不良による研究中断のため、当初の計画通りに研究を進めることができなかった。2024年度は、研究を再開できる目途が立ち、以下の方針で研究を推進する計画である。 1)横書き文を音読する際の視線の停留位置に文の配置と構造が与える影響の検討:新たな分析を追加し、学会発表および論文執筆を行う予定である。 2)横書き文を音読する際の視線の動きに行頭の手がかり及び文字表記が与える影響の検討:2023年度当初に計画していたデータ分析を終えることができなかった。2024年度はデータの分析と論文執筆を進める予定である。 3)行頭文字の視覚探索の困難さに空間性短期記憶障害(行頭の位置情報の記銘・把持の困難さ)が与える影響の検討:横書き文の改行時には、行頭の視覚探索が必要となる。先行研究から、左半側空間無視患者の視覚探索の困難さには空間性短期記憶障害が関与している可能性が示されているが、その詳細は明らかになっていない。2024年度は、研究協力者とともに、視覚探索の困難さと空間性短期記憶障害の関連性について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の体調不良により進行が大幅に遅れた。 1)横書き文を音読する際の視線の停留位置に文の配置と構造が与える影響の検討 これまでに収集したデータの分析を計画通りに進めることができなかった。 2)横書き文を音読する際の視線の動きに行頭の手がかり及び文字表記が与える影響の検討 2023年度中に健常者および症例のデータ収集・分析を予定していたが、計画通りに進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長し、最終年度を2024年度までとした。2024年度は、以下の方針で研究を推進する計画である。 1)横書き文を音読する際の視線の停留位置に文の配置と構造が与える影響の検討:2023年度までの検討から、健常者においては、文の構造によってreturn sweepの開始および終了位置に差が生じ、文の配置によって視線が最も左方で停留する位置(最左停留位置)に差が生じる可能性が示された。2024年度は、追加の分析を行い、学会発表と論文執筆を行う予定である。 2)横書き文を音読する際の視線の動きに行頭の手がかり及び文字表記が与える影響の検討:2023年度までに課題を完成させ、研究協力者を得てデータ収集を行ったが、データ分析に着手することができなかった。2024年度は、これまでに収集した視線データの分析を行い、論文執筆を行う予定である。 3)行頭文字の視覚探索の困難さに空間性短期記憶障害(行頭の位置情報の記銘・把持の困難さ)が与える影響の検討:横書き文の改行時には、行頭の視覚探索が必要となる。先行研究から、左半側空間無視患者の視覚探索の困難さには、空間性短期記憶障害が関与している可能性が示されているが、その詳細は明らかになっていない。2024年度は、研究協力者とともに、患者の視覚探索の困難さと空間性短期記憶障害の関連性について検討を行う。研究協力者は、左半側空間無視患者を対象とした臨床および研究の経験があり、研究を進める体制は整っている。
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