研究課題/領域番号 |
20K03503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田谷 修一郎 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 講師 (80401933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 視覚的充填 / 補完 / 錯視 / 形状知覚 / 輪郭検出 / 周辺視 / 視知覚 / 視覚的意識 / 視覚的補完 / 視覚マスキング / 視覚 / マスキング / 知覚的充填 / 周辺視野 / 眼球運動 / 心理物理学 |
研究開始時の研究の概要 |
筆者は近年,視野中心に呈示した視覚刺激の輪郭を短時間マスクするだけで,中心視野のテクスチャが周辺視野の広範囲に充填するという新種の知覚的充填現象を発見した。本研究はこの「マスク誘導充填」現象を題材とし,眼球運動や眼の開閉に伴う情報欠損を補う視覚系の機能的側面が,充填の生起に重要な役割を果たしているという仮説を検討する。具体的には知覚的充填の両眼間転移の検討,充填部の知覚的変化の時間特性の検討,および充填の眼球運動・瞬目に対する随伴性の検討を行う。
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研究実績の概要 |
盲点や物体同士の遮蔽などにより,網膜像上に投影される情報は恒常的にかつ様々なかたちで欠損している。それにもかかわらず視覚世界の事物が一貫性のある形を持って見えるのは,そうした欠損を補う視覚系の働きによるものと考えられる。「補完」や「充填」と呼ばれるこの働きは,心理学・神経科学における重要な研究対象である。 本研究の目的は,視覚的補完・充填のメカニズムを心理物理実験によって実証的に明らかにすることである。本研究では,「マスク誘導充填」という,筆者自身が発見した新種の(と思われる)視覚的補完現象を中心的題材としている。この現象は,視野中心の円形領域に規則的に並んだドットなどのテクスチャを呈示する直前に,その領域の輪郭と同形状の輪郭円(マスク)を一瞬呈示すると,物理的にはテクスチャの呈示されていない視野周辺領域も含めて,視野全体がテクスチャで覆われて見えるというものである。 2022年度はこのマスク誘導充填現象がマスクとテクスチャ領域を両眼分離呈示した場合にも生じるかを検討した。実験ではホイートストーン型ステレオスコープを用い,マスクとテクスチャ領域を観察者の異なる眼に継時的に呈示した。この結果,このような観察条件下でも充填が生じることが示され,マスク誘導充填が,視覚情報処理における両眼情報統合後の段階で生じていることが示唆された。またこの結果は,既知の類似の現象(eg 輪郭順応, Ansits 2013)とマスク誘導充填が異なるメカニズムで生じることを示唆するものである。 加えて本年度は,やはり輪郭情報の補完に起因すると考えられる別の錯視現象(石川, 2018)についても,そのメカニズムの検討を行った。この結果,この錯視は,低空間周波数の画像情報や,輝度コントラストの反転といった既知の錯視を生み出すものとは異なるメカニズムで生じていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までのコロナ禍の影響により研究期間を1年間延長することにはなったものの,その分を差し引けば概ね申請した計画通りに研究が進められている。また,本研究の目的である形状知覚における輪郭検出の重要性についての考察から派生して,元の計画にはない実験も行うことができた。また,それぞれの実験で得られた成果について,一報は既に国際学会誌に投稿済みであり,もう一報についてもまもなく投稿できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に得られた実験データについて,現在執筆中の論文を完成させ,上半期前半には国際誌へ投稿を完了する。また,論文の執筆と並行し,申請した計画に沿って,実験を二つ行う。これらの実験についても上半期中に完了し,秋冬の学会で発表するとともに,年度内に論文を投稿する予定である。
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