研究課題/領域番号 |
20K03532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中岡 宏行 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (90568677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 完全圏 / 三角圏 / アーベル圏 |
研究開始時の研究の概要 |
環上の加群などに適用可能な一般論としての抽象的ホモロジー代数は、通常、アーベル圏(より一般には完全圏)や三角圏といった圏を主な舞台として展開される。本研究ではこれらの主要なクラスを含む統一的ホモロジー代数の展開を目的として、広く適用可能な一般抽象論の発展を目指す。さらに、そこで用いる圏の背後にある高次の構造についても調べる。主には、完全圏・三角圏を含む概念としてYann Palu氏と導入したextriangulated categoryを用いて研究を行う。高次数版として導入されたn-exangulated categoryに一般化可能な事柄については、適宜その可能性も模索する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では目的として、ホモロジー代数のための主要な圏論的舞台であるアーベル圏・完全圏および三角圏を含む圏のクラスであるextriangulated categoryに関する理論的枠組みの発展を挙げている。 今年度は、改訂後査読中であった論文"Auslander-Reiten theory in extriangulated categories"がTransactions of the American Mathematical Society, Series Bから出版された。この論文では、extriangulated categoryにおけるAuslander-Reiten理論について考察を行った。 高次extensionについて論じたプレプリント"Positive and negative extensions in extriangulated categories"(執筆は前年度以前)は今年度に論文誌への投稿を行い、現在査読中となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Auslander-Reiten理論は多元環の表現論では重要な役割を果たすものであり、圏論的枠組みとしてはアーベル圏・完全圏・三角圏といったホモロジー代数学で主要な圏においてこれまで主に考察されてきた。これを共通一般化であるextriangulated categoryで統一的に扱った論文が総合誌であるTransactions of the American Mathematical Society, Series Bから出版されたことについては一定の意義があり、研究計画全体の中でも一つの達成点として挙げられる内容となったと考えている。昨年度は局所化についてある程度の結果を得られたことも考え合わせると、概ね順調に進展しているといえる。一方で、研究計画に挙げた事柄のうち、三角圏への埋め込みについては条件の調査を続けているところであり、これに関してはさらに研究を推進する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗からは、extriangulated categoryの埋め込みの考察では局所化が重要な役割を担うと考えられる。これまでに得た局所化の一般論を活用して、この課題の推進を行いたい。 また、extriangulated categoryについて近年他の研究者たちにより得られている完全∞-圏や完全dg圏による増強とも関連すると考えられるため、こうした高次圏論的な視点からの考察も有効に働くと期待できる。特に、これら高次増強に共通して存在する2-圏論的な構造について詳細に検討し、既存の研究結果との関連を詳しく見ることで、今後の研究の推進に繋げられると考えている。またextriangulated categoryに関わる別の最近の結果として、extensionのなす2-圏を用いた一連の研究も現れており、2-圏論的な観点から当研究課題との関連をみることも、今後の推進の方策となり得ると考えている。
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