研究課題/領域番号 |
20K03540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
巴山 竜来 専修大学, 経営学部, 准教授 (60755891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 旗領域 / リー群 / 等質空間 / リー理論 / 組み合わせ論 / コンピュータグラフィックス / デジタルファブリケーション / 複素幾何 / 数式処理 |
研究開始時の研究の概要 |
複素旗多様体は複素簡約リー群の放物型部分群による商をとった等質空間であるが,その実形による軌道は有限個の軌道を持つことが知られている.この実軌道が旗多様体の開集合であるようなとき,それを旗領域と呼ぶ.旗領域の幾何学的性質はリー代数の組み合わせ論的性質が関係している.組み合わせ論はコンピュータと相性がよく,コンピュータを使った計算によって理論を検証,ならびに推論することができる.この研究ではコンピュータを積極的に援用し,組み合わせ論的観点から旗領域の研究を進める.また数式処理やコンピュータグラフィックスの研究への波及効果,可視化を生かしたアウトリーチ活動も視野に入れている.
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研究実績の概要 |
擬凹旗領域はサイクル連結性を持つことが知られており、この研究課題にて1連結性と呼ばれる性質について研究を行った。その結果、1連結性は限られた旗領域でのみ成り立つ、制限の強い条件であることが分かった。2023年度は1連結性を緩めたn連結性を導入し、サイクル連結性の強さに関する量的評価について研究を行った。とくに旗領域に作用するリー群がエルミート型の場合について新たな結果を得た。旗領域は旗多様体の開部分集合であり、エルミート型の場合はエルミート形式に関するベクトル空間の符号によって旗領域が定まる。この符号の値を使ってn連結性の評価式を示した。これは有界対称領域に関する理論とワイル群の組み合わせ論によって得られた。この結果についてまとめた論文を執筆し、研究誌に投稿した。 また過去に行った建築意匠設計に関する事例をまとめた論文を執筆し、それが建築情報学会の学会誌に掲載された。建築に関しては、近年の話題としてリー球面幾何の形状設計への応用が知られている。リー球面幾何はユークリッド空間内の超球面と超平面を扱うための理論であり、不定値特殊直交群がそのモジュライ空間に作用している。とくに3次元の場合が形状設計において重要であり、SO(4,2)の作用によって諸々の幾何学的な特性が保たれる。これらについて井ノ口順一氏、横須賀洋平氏と議論し、リー群と等質空間の研究を形状設計に応用するための研究をはじめた。またCADソフトウェアを使って、これらの理論をもとに形状モデリングした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
旗領域に関する新しい結果を出し、論文投稿ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に得た旗領域のn連結性に関する性質は、旗領域に作用するリー群がエルミート型であることを仮定していた。この条件を除いた一般の旗領域を対象として、n連結性の研究を進める。また旗領域については、擬凹性の次数や法線束の豊富性に関する観点からも研究が進められており、これらの研究結果との関連性も調べる。その後、旗領域のコホモロジーを調べる上で重要なイグゾースチョンの構成問題に取り込む。 一方、リー球面幾何の観点から、リー群の等質空間への作用が3次元の形状設計に応用できることが分かった。理論的な研究を進めると同時に、3DCADを用いて実際の形状生成への応用を目指す。
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