研究課題/領域番号 |
20K03543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
池田 京司 東京電機大学, 工学部, 教授 (40397617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 代数曲線 / 偏極アーベル多様体 / 分岐被覆 / テータ関数 / プリム多様体 / アーベル多様体 / ガウス写像 / 周期行列 / 周期写像 |
研究開始時の研究の概要 |
代数曲線の分岐被覆に対し、プリム多様体と呼ばれる偏極アーベル多様体が定義される。本研究では、プリム多様体の偏極が定める因子の幾何学的性質を調べ、プリム多様体から元の代数曲線の分岐被覆が復元できるかどうかという問題を解明する。復元できないような場合には、どのような代数曲線の分岐被覆の族が同じプリム多様体を定めているのかを明らかにする。また偏極アーベル多様体がどのような条件を満たせば、分岐被覆のプリム多様体として実現可能かを明らかにする。
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研究実績の概要 |
非特異代数曲線の分岐被覆に対しプリム多様体と呼ばれる偏極アーベル多様体が定まるが、一般の偏極アーベル多様体は分岐被覆のプリム多様体として得られるとは限らない。そこで偏極アーベル多様体が分岐被覆のプリム多様体となるための条件を見つけることを目的に研究を進めた。偏極アーベル多様体は周期行列によって決まるが、その周期行列に付随する指標付きテータ関数の性質によって、それがプリム多様体かどうかを判定する結果を得ること目指している。これまで、2次の偏極アーベル多様体が楕円曲線の2重被覆のプリム多様体となるための必要条件を得ており,それが十分条件であることを予想し研究を進めていたが、実際に十分性を証明するには条件の修正が必要であることが明らかになってきた。これまでの予想は、主偏極アーベル多様体の中で超楕円曲線のヤコビ多様体を特徴づけるMumfordの結果に倣って定式化したものであった。Mumfordの結果は指標付きテータ定数の消滅、非消滅のみで非特異超楕円曲線のヤコビ多様体を特徴づけるものであったが、プリム多様体の場合に同様に定式化したものでは、指標付きテータ定数が条件を満たしていても非特異曲線の分岐被覆のプリム多様体とはならないものが存在することが判明した。そこで、プリム多様体を非特異曲線に対するものだけでなく、特異点を持つ曲線の被覆に対するものにまで拡張して考えることにより、予想していた指標付きテータ定数の条件を修正せずに、当初予想した結果を得る方針をとった。まだ期待する結果の証明は完成していないが、指標付きテータ定数に関する予想より強い条件を課した場合にはそれが一般化されたプリム多様体として実現されることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
偏極アーベル多様体に対しその指標付きテータ関数の性質によって、それが非特異代数曲線の分岐被覆のプリム多様体となるための条件を求めることを目指しており、これまでの研究で予想となる条件を定式化するところまでできていた。しかし今年度の研究により、その条件を変えずに期待する結果を得るためには特異点をもつ代数曲線の分岐被覆に対するプリム多様体も考慮する必要があることが判明した。計画では、扱う代数曲線の分岐被覆は非特異なものに限って進める予定であったが、特異点を持つ代数曲線にまで扱う対象を拡張して議論する必要が生じたため、結果を証明することに時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究により、新たに特異点を持つ代数曲線の分岐被覆から定まるプリム多様体を詳しく調べる必要が出てきたため、その部分の研究から進める。特に、特異点を持つ代数曲線の分岐被覆から定まるプリム多様体が非特異偏極アーベル多様体となる場合について、次の2点について調べる。一つ目はトレリ型の定理がどの条件で成り立つのかを明らかにする。非特異な場合には分岐点の個数が6個以上であればトレリ型の定理が成立することが判明しているが、特異点をもつ代数曲線の分岐被覆の場合に同様のことが成り立つのかどうかを調べる。二つ目は超楕円曲線の分岐被覆の双対分岐被覆を特異点を持つ代数曲線の枠組みで定義し、双対分岐被覆のプリム多様体がもとの分岐被覆の双対アーベル多様体を定めることを示す。これらの準備を手掛かりに令和5年度に解決できなかったプリム多様体の指標付きテータ定数による完全な特徴づけを完成させる。また、プリム多様体の偏極が定める線形系の特別な幾何学的性質により、偏極アーベル多様内のモジュライ空間部分多様体を定め、指標付きテータ定数の条件で得られる部分多様体と比較することにより、その幾何学的性質がプリム多様体を特徴づけるかどうかを解明する。
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