研究課題/領域番号 |
20K03556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
宮崎 充弘 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90219767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | エールハルト環 / スタンレー・ライスナー環 / 日比環 / 順序凸多面体 / 鎖凸多面体 / ステーブルセット多面体 / トーリックフェイス環 / スタンレーライスナー環 / トーリック環 / Ehrhart環 / Stanley-Reisner環 / order polytope / chain polytope |
研究開始時の研究の概要 |
組み合わせ論的対象である、単体複体、凸多面体に対し、それぞれ可換環論的対象であるスタンレー・ライスナー環、エールハルト環が対応し、この対応を通じて、可換環論、組み合わせ論双方の理論が密接に結びつけられ、その結びつきは、双方の理論に、極めて重要かつ本質的な刺激を与え、双方の理論の発展に重要な寄与をした。 本研究では、凸多面体複体を通じて、このスタンレー・ライスナー環の理論と、エールハルト環の理論両者の共通の一般化となる理論を構築し、可換環論と組み合わせ論双方にさらなる刺激を与え、両者のさらなる発展に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
凸多面体から定義されるエールハルト環、および、単体複体から定義されるスタンレー・ライスナー環は、どちらも組み合わせ的可換環論の重要な研究対象である。スタンレー・ライスナー環は、頂点の個数だけ変数を持つ多項式環を、単体複体に対応した単項式で生成されるイデアルで割った剰余環として定義されるが、そのスタンレー・ライスナー環を定義する単体複体の、各極大面に注目すると、それに含まれる頂点に対応する変数で生成される、スタンレー・ライスナー環の部分環は多項式環であり、スタンレー・ライスナー環は、これら多項式環を、2つの単項式の積を、それらを共に含む多項式環が存在する場合にはその多項式環における積、それ以外の場合には0と定義することによってつなぎ合わせたものと考えることもできる。 この方法により環をつなぎ合わせることは、多項式環に限らずつなぎ合わせるために必要な幾何学的情報があれば可能である。とくに、多項式環は正規化体積が1の単体のエールハルト環であることを念頭におけば、単体複体を多面体複体に一般化し、各極大面に対応する環をその凸多面体のエールハルト環に一般化することは自然な考えであろう。実際に、私は日比環に関する研究の中で、日比環のキャノニカルイデアルのファイバーコーンがこの形の環になっていることが示した。また、最近になって、何人かの研究者がこの形の環を研究し始めた。彼らの間では、この形の環をトーリックフェイス環と呼ぶのが一般的なようである。 トーリックフェイス環の研究は、まだ緒についたばかりの感があり、様々な研究者がいろいろな方面からのアプローチを試みている。本研究もそのような研究の1つということになるが、令和4年度においては、様々な凸多面体のエールハルト環を調べる方向からのアプローチをとった。その結果、有限グラフのステーブルセット多面体のエールハルト環に関するいくつかの結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、スタンレー・ライスナー環や、エールハルト環の専門家とお会いして、いろいろな議論をする中で、今ではトーリックフェイス環と呼ばれるようになった新しい概念を、様々な角度から研究していくという手法を用いて、研究を推進していくことを企図していた。しかし、本研究が始まった令和2年度から、新型コロナウイルス対策の移動の制限が実施され、当初の計画通りには進まなかった。移動制限は、令和4年度には緩やかになってきたが、最初の2年間を取り戻すには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
日本においては、令和5年5月8日に新型コロナウイルスの分類が5類になり、移動制限も撤廃されたので、最終年度になってしまったが、当初の研究計画で企図した研究方針に基づいて、スタンレー・ライスナー環や、凸多面体、エールハルト環の専門家とお会いして、本研究の研究対象である、トーリックフェイス環と今では呼ばれるようになった新しい概念に関して、様々な方面から議論して研究を進める予定である。また、トーリックフェイス環を研究している方々とも連絡を取り、議論をすることにより、この将来有望な概念であるところの、トーリックフェイス環の研究を進める予定である。
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