研究課題/領域番号 |
20K03558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石川 雅雄 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (40243373)
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研究分担者 |
岡田 聡一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20224016)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | plane partitions / alternating sign matrix / determinants / Pfaffians / charcters / d-complete posets / orthogonal polynomials / Macdonald polynomials / Selberg integral / distributive lattice / Markov chain / Jack polynomials / 交代符号行列 / 平面分割 / Pfaffain / determinant / Hankel determinants / symmetric functions / combinatorics / 代数的組合せ論 / 直交多項式 / パフィアン / 行列式 / 半順序集合 / Fully packed loops / Selberg Integral / 有限分配束 / ルート系 / Fully Packed Loops |
研究開始時の研究の概要 |
交代符号行列全体の集合やアステカ正方形 (Aztec diamond) のドミノタイリング全体の集合平面分割全体の集合など、これまで数え上げの対象であった多くのものは自然な半順序集合としての構造が入り、かつその半順序によって有限分配束となるものが多い。交代符号行列に限らず、これまで表現論や数え上げ組合せ論に現れた対象の中にも数多く見受けられる。 有限分配束の基本定理によって、半順序集合の順序イデアル全体の集合と同型であるが、ここではその半順序集合の具体的な構造を明らかにし、その応用としてどのようなことができるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Domino plane partition に関する研究を進め、母関数に関して古典群の指標を使った予想式を作った。Domino plane partition の各行の長さが偶数の場合、各列の長さが偶数の場合、また各行と列の長さがいずれも偶数の場合に、ある重みをつけた母関数を行列式で表すことができた。この行列式の成分は二項係数を係数とする多項式で表され、その評価に取り組んでいるが行列式の評価は易しい問題ではない。また、この行列式は特殊化によっていろいろな多項式や数列が得られ、それらがいずれも交代符号行列の対称性を考慮した数え上げ問題に酷似している。中でも VSASM や HTSASM、それから defect をもつ fully packed loops の数え上げなど、いろいろな数え上げ問題に関連していると思われる一致が見られる。domino plane partition の研究と共に、もう1つ取り組んでいるのが d-compete poset の (q,t)-hook formula である。これは、名古屋大学の岡田氏によって提唱された予想であるが、未解決の部分が多い。統一的な証明ではなく既約な d-compete poset について個別にアタックしているが、それぞれの予想式を Macdonald 多項式の Pieri 係数を使って Macdonald 多項式の等式に帰着させようとしている。shape の場合は、普通の Cauchy type の式に、shifted shape の場合には Warnaar の式 (Littlewood の式の拡張) など、それぞれ古典的な良く知られた式に帰着されてたいへん面白い。他の場合も Macdonald 多項式のどのような式が出てくるか興味深いところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面分割の母関数については、いくつかの課題があって、それぞれの問題について lattice path method によって、行列式の形に持って行くことはよく知られた方法である。次の問題は行列式をなるべく簡単な形に変形することである。GL や Sp, SO 等の古典群の指標もワイルの指標公式により行列式で与えられる。ワイルの指標公式以外にも完全対称式や基本対称式で表す方法も知られている。いくつかの平面分割の母関数から得られる行列式を、これらの行列式に関係づけることに挑戦している。そのためには行列式の成分の母関数を計算して、母関数の変形によって関連付ける方法が考えられる。また、超幾何関数との関連を見つける努力もしている。いずれにしても完全に解決するのはなかなか難しい問題である。もう1つの d-compete poset の (q,t)-hook formula については、それぞれの既約な d-compete poset の性質を使う。Shape と shifted shape 以外の場合は birds と banner の場合に basic hypergeometric series の very well-poised series 12W11 の等式に帰着する方法を考えた。既約な d-complete poset は、全部で 15 種類ある。これで 4 種類の証明ができたことになる。また、それぞれの既約な d-complete poset について証明ができれば、それらの slant sum として得られる任意の d-complete poset について成り立つ。よって、目標は1つでも多い既約類について証明することである。
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今後の研究の推進方策 |
いくつかの domino plane partition の class の母関数を与える行列式を評価する方法に挑戦する。行列式の成分の 2 変数母関数は計算できる。有理関数であり分母は3次式になるが、母関数を簡単化する方法は見つからない。また、この行列式の LU 分解等も具体例で Maple 等を使って計算してみるが、LU 分解のそれぞれの行列の成分を予想することも難しそうである。その他に考えられることは超幾何級数との関係である。二項係数は超幾何級数と関係が深いが、この行列式を特殊化した場合は G. Andrews により計算されている。しかし、その方法は超幾何級数を使った難しいものであった。 d-compete poset の (q,t)-hook formula については、まず、各既約類の poset について、考える母関数を Macdonald 多項式の等式に書き換えることを目標とする。そのためには、係数を Pieri 係数と解釈するために、どのような partition の列を考えるかという問題になる。 Birds や Banners については解決しているので Insets や Tailed Insets、Nooks について。その形から partition の列の Pieri 係数に置き換えていく。この方法で、すべての係数が Pieri 係数のみで書ければ Macdonald 多項式で書けるはずである。これをいくつかの例で計算し、うまく行けば一般化する。その際に、大きな計算では Sage や Maple といった数式処理ソフトを計算の確認のために使うことができる。
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