研究課題
基盤研究(C)
本研究課題においては, 無限次代数体のイデアル類群の自明性に関する研究を行う. 特に, 有理数体に 1 の素数乗根を全て添加した代数体の最大実部分体, 有理数体の円分的 Z_p-拡大体, 有理数体の円分的 Z~-拡大体のイデアル類群を中心に研究を進めていく. そのための手法としては, 類体論的手法, 岩澤理論的手法, 解析的手法, 高さ関数, 合同式, 計算機による実例計算など, 多種多様な手法を複合的に用いる.
令和5年度、研究代表者は以下の研究を行った。1)pを素数とする。本研究課題において扱う無限次代数体の中で、有理数体上の円分的Z_p-拡大体を考える。本年度も引き続き、この有理数体上の円分的Z_p-拡大体の無限個の中間体のイデアル類群の位数(類数)に注目して研究を行った。本研究課題で取り扱う有理数体上の実アーベル拡大体の類数は、その(相対)単数群と(相対)円単数群の商群の位数と関連があることが知られている。そこで、令和4年度までにおいては、相対単数群に対し合同式から定まる部分群列と、ガロア作用から定まる部分群列の2つの異なる部分群列を定義し、それらの部分群列に関する研究を進めてきた。これに対し本年度は、それらの結果を用いて有理数体上の円分的Z_p-拡大体の無限個の中間体のイデアル類群の位数の非可除性への応用についての研究を進めた。2)本年度は、令和4年度までに得られた有理数体上の研究結果を他の実アーベル拡大体上で展開すべく研究をすすめた。そのための第一歩として、pを4を法として1と合同な素数とし、有理数体にpの平方根を付け加えた実アーベル体上の円分的Z_p-拡大体の場合に研究を進めた。この場合においても、pに関するある条件の下では、上記の有理数体上の円分的Z_p-拡大体の場合と類似する結果を得た。すなわち、相対単数群に対し、合同式から定まる部分群列とガロア作用から定まる部分群列がある種の条件の下で一致することを示した。
3: やや遅れている
pが4を法として1と合同である場合、有理数体にpの平方根を付け加えた実アーベル体上の円分的Z_p-拡大体の相対単数について、ある程度期待される結果が得られた。しかし、これはpに関するある条件の下での結果であり、その条件を外すまでには至らなかった。
本年度、pが4を法として1と合同である場合、有理数体にpの平方根を付け加えた実アーベル体上の円分的Z_p-拡大体の相対単数について、pに関するある条件の下で結果を得た。この結果は、無条件に成立することが期待されるため、その証明を目指す。
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International Journal of Number Theory
巻: 16-5 号: 05 ページ: 1067-1079
10.1142/s1793042120500554