研究課題/領域番号 |
20K03569
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ヤコビ形式 / テータリフト / 保型L関数 / 保型形式 / 新谷リフト / 楕円モジュラー形式 / 分岐則 / ヤコビ保型形式 / 周期 / 保型L関数の特殊値 |
研究開始時の研究の概要 |
ある対象を深く知るために、その対象が定義されている範囲を小さくして挙動を調べるのは、極めて有効な研究方法である。この方法は、表現論や整数論においては「分岐則」の研究に対応する。本研究では、19世紀以来研究されているヤコビ保型形式について、その分岐則を探究する。また、ほかのまだ研究が進んでいない保型形式についても、分岐則を研究する。目標は、分岐則とL関数の特殊値を関係づける市野・池田予想の類似を確立することである。
|
研究実績の概要 |
研究目的であるヤコビ形式の分岐則の解明のために、楕円モジュラー形式とヤコビ形式の間の関係を与える志村ー新谷リフトをアデール的に定式化した。その過程で、ヤコビ形式の空間 SJ から楕円モジュラー形式の空間 SM への線形写像である志村リフト L と、その随伴写像として得られる新谷リフト L* の合成に関して興味深い結果が得られた。すなわち、 SJ の元 F に対し、L*(L(F)) が F の定数倍になり、しかもその定数は F の保型L関数の特殊値になるというものである。すなわち、F は、写像の合成 L* L によって「復元」される。この復元公式の応用として、F が新谷リフトの像になるための十分条件が保型L関数の特殊値の言葉によって記述できることがわかった。これまで、新谷リフトを含むテータリフトの理論においては、リフト写像の核についての結果はいくつかあったが、像についての結果はほとんど知られていなかったので、この結果は注目すべきである。以上の結果は、大阪公立大学の源嶋氏との共同研究である。 上記の復元公式は、他のテータリフトの場合にも適用が可能と思われる。実際、楕円モジュラー形式から2次四元数ユニタリ群青の保型形式へのリフトである荒川リフトについての復元公式を早稲田大の成田氏と現在共同研究を行っている。今後のさらなる展開としては、楕円モジュラー形式から3次ユニタリ群上の保型形式であるピカールモジュラー形式へのリフトである Kudla リフトについて、その復元公式を金沢大の菅野氏と共同研究を行う計画である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的であるヤコビ形式の分岐則については、まだ完全な結果を得ていないが、派生する研究課題(テータリフトにおける復元公式)が見いだされたことによって、研究対象が大幅に広がった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的から派生する課題として、テータリフトにおける復元公式を様々な場合に研究する計画である。具体的には、志村リフト、Kudlaリフトおよび荒川リフトの場合を当面考察する予定である。成田氏(早稲田大学)、菅野氏(金沢大学)および源嶋氏(大阪公立大学)との共同研究の形で行う。
|