研究課題/領域番号 |
20K03576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
入江 博 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30385489)
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研究分担者 |
柴田 将敬 名城大学, 理工学部, 准教授 (90359688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 幾何学 / 凸体 / 極凸体 / Mahler体積 / 直交群の離散部分群 / Mahler予想 / シンプレクティック容量 / シンプレクティック構造 / ハミルトン力学系 |
研究開始時の研究の概要 |
凸幾何の分野での古典的未解決問題の一つに、ユークリッド空間の中心対称な凸体のMahler体積の下からの最適評価に関するMahler予想(1939年)がある。凸体のMahler体積とは、中心対称な凸体の体積とその極凸体の体積の積のことである。 本研究では、凸幾何の観点からMahler予想を経由して、シンプレクティック幾何の分野でのハミルトン力学系から定義されるある不変量に関する予想であるViterbo予想の研究を行う。
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研究実績の概要 |
1.ユークリッド空間の中心対称な凸体とその極凸体の体積の積をMahler体積という。n次元凸体に対して、Mahler体積の最小値は(4のn乗)/n!であると予想されている。これはMahler予想(1939年)と呼ばれ、凸幾何学の分野での古典的な未解決問題の一つである。2次元の場合には、Mahler自身により1938年に解決されているが、3次元以上では部分的結果は知られているものの、未解決であった。研究分担者である柴田将敬氏(名城大学)と共同で、この予想を3次元の場合に完全解決した論文は令和2年度に出版されたが、これは、本研究計画の立案の出発点でもある。この「3次元対称凸体のMahler予想の解決」の業績が評価され、2022年度日本数学会幾何学賞を柴田氏と共同で受賞した。 2.令和2年度に、3次直交群のいくつかの系列の離散部分群の対称性をもつ3次元凸体のMahler体積の下からの最良評価と等号成立条件に関してプレプリントを完成させていたが、この論文がDiscrete and Computational Geometry誌から出版された。 3.上記2の研究で残った系列での、3つの対称性の場合のMahler体積の下からの評価の研究に着手した。先行研究よりも少ない対称性で議論するため困難が大きくなるが、符号付体積評価に加えて、equipartitionの方法を使うことで最良評価が得られる見込みである。 以上は、研究分担者である柴田氏との共同研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度も昨年度同様に新型コロナウイルス感染症の影響があったが、国内出張はしやすくなったため、研究分担者の柴田将敬氏(名城大学)とお互いの研究機関を訪問しての直接の議論を数回実施した。不足する部分はオンライン会議システムZoomを用いて議論を行った。凸幾何の分野は国内の研究者が少ないため、最新の研究情報収集のためには海外の研究集会に参加するしかない。しかし、この3年間新型コロナの影響で海外出張が全くできず、課題の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、新型コロナウイルス感染症に関する規制が小さくなることが予想される。そのため、研究分担者の柴田氏とできるだけ対面での議論の機会を増やしたい。今後の研究方針としては、引き続きMahler予想関連の検討を進める。特に、研究実績の概要の項目3で述べた3つの場合の下からの最良評価、等号成立条件、安定性の検討を行う。 また、新型コロナの状況を見ながら、研究情報収集のための国内出張や、特に、3年間滞っている海外出張の機会を増やしたい。
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