研究課題/領域番号 |
20K03583
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 岐阜大学 (2021-2022) 京都教育大学 (2020) |
研究代表者 |
横山 知郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30613179)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 力学系 / トポロジー / 葉層構造 / 位相不変量 / 半順序 / 遷移グラフ / 一般位相空間論 |
研究開始時の研究の概要 |
力学系理論は,微分方程式の解の定性的な研究として始まり,どのような流れがジェネリックかという問題などを扱い発展してきた.一方,葉層構造理論は,微分方程式の解曲線の集まりからなる多様体上の1次元構造や,一般の高次元構造の大域的な研究として発展してきた.このように力学系と葉層構造は関連する対象を異なる角度から研究が行われてきた.本研究では,これら2つの関連深い理論の手法を融合することにより,既存の研究をより精度の高い解析に発展させる.
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研究実績の概要 |
これまで力学系理論において,どのような流れがジェネリックかという問題や構造安定であるかという問題は活発に研究されてきた.特に,低次元の力学系に対して位相不変量が構成され,その分類が行われている.他方,表現が良くないと,調べたい対象の位相不変量の計算が困難となる場合があるので,計算に適したものを構成する必要がある. 学術的な問いとして,(1) 流れの位相不変量の精密化,(2) より広いクラスの力学系に適用できる位相不変量の構成,(3) 有限的に表現されていない位相不変量の有限的な表現への縮約,(4) 流れの位相不変量の計算に適した表現の構成,(5) 流れの位相不変量を用いた遷移グラフの構成,(6) 遷移グラフや分岐図を用いた力学系のトポロジカルな解析,を中心に扱う. 本年度は,初年度に途中経過をモスクワ大学のセミナーで報告したMorse-Smale流の遷移を記述する基礎に関する理論を構築し,その内容について論文を出版した.さらに,既存の曲面上のHamilton流の位相不変量の表現を精密化し,曲面上の"有限的な"流れに対する表現を構成し,より広いクラスの流体現象を解析できる枠組みを構築した.特に,計算機上に実装しやすいような計算に適した表現を構築した.この内容について論文を出版した.また,遷移グラフを用いた力学系のトポロジカルな解析を行う上で,極限集合に関する情報は力学系を理解して解析する上で重要であるが,時間定常な流れにおいて,正の時間極限と負の時間極限における極限集合の形に依存性があることを発見し,その内容について論文を出版した.他方,昨年度に得られた,Morseグラフ,Morse-Smale流の付随するCW複体構造,曲面上のジェネリックなHamilton流のReeb graphの一般化となるような新しい高次元の位相不変量の構成について,国際会議の招待講演において報告をした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前述のように,Morse-Smale流の遷移を記述する基礎に関する理論についての論文を出版した.さらに,既存の曲面上のHamilton流の位相不変量の表現を精密化し,曲面上の"有限的な"流れに対する表現を構成し,より広いクラスの流体現象を解析できる枠組みを構築した論文を出版した.また,正の時間極限と負の時間極限における極限集合の形に依存性があることを発見し,力学系のトポロジカルな解析の基礎となる内容の論文を出版した. 他方,昨年度出版したMorseグラフ,Morse-Smale流の付随するCW複体構造,曲面上のジェネリックなHamilton流のReeb graphの一般化となるような新しい高次元の流れの位相不変量の構成した論文について国際会議の招待講演で報告することにより,多くの研究者に研究成果を周知することができた. 他方,構築した新しい流れの位相不変量の類似として,力学系的な視点による位相空間の新たな位相不変量の構成ができる可能性がある.さらに,流れのみならず,半群作用や葉層構造などの空間分割に対しても,同様の位相不変量を構成しようとしている.それを実現するための基礎として流れや葉層構造のみならず半群作用や空間分割を統合するような構造を見出すことは大きな課題であるが,これらの候補となる構造を発見しその途中経過を九州大学の力学系セミナーとトポロジー金曜セミナーの合同開催において発表をしている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗を踏まえて,以下の研究を進めていく.(1) 半順序を用いて力学系的な視点による位相空間の新たな位相不変量の構成する理論的基盤を整備する,(2) Hamilton流とMorse-Smale流という典型的な流れの位相不変量の生成する遷移グラフの構成を,より高次元の構造に拡張する,(3) 流れに対する位相不変量を一般化して,群作用や葉層構造などのより多くの対象の位相不変量を構成し,流れやその一般化とみなせる現象のトポロジカルな解析の基礎を構築する,(4) コンパクト曲面上のHamilton流に対する結果をより一般の流れに対する結果に拡張するための基礎として,Hamilton流を含むより一般の流れである非遊走流のトポロジカルな特徴付けを行う,(5)コンパクト曲面上のHamilton流に対する結果を,非コンパクトな曲面上のHamilton流に拡張する.
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