研究課題/領域番号 |
20K03587
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
寺垣内 政一 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (80236984)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | ウプシロン不変量 / 2次ウプシロン不変量 / デーン手術 / 共役ねじれ元 / L空間結び目 / 形式的半群 / 両側不変順序 / 左不変順序 / 不変順序 / L空間 |
研究開始時の研究の概要 |
以下の4つの課題に取り組む. (1) 結び目群を主として,3次元多様体の基本群がいつ両側不変順序を許容するか.そして,その障害である共役ねじれ元の存在について. (2) 結び目のデーン手術で得られる多様体及び結び目の巡回分岐被覆空間がいつへガード・フレアL空間になるか.被覆度数が低い場合に対して,2橋結び目や交代結び目に対して考察する. (3) 擬交代絡み目の研究. (4) L空間結び目に付随する形式的半群及びアレキサンダー多項式の指数の分布の研究.
|
研究実績の概要 |
ヘガード・フレアL空間をデーン手術によって生成できる結び目は,L空間結び目とよばれ,結び目理論における重要な結び目のクラスを形成していることが近年では認識されている.結び目のヘガード・フレア複体に由来する不変量はいくつか知られているが,特にウプシロン不変量と2次ウプシロン不変量に着目した.L空間結び目に対するウプシロン不変量は.結び目のアレキサンダー多項式と同値な情報を持つギャップ関数のルジャンドル変換であることが知られていた.2次ウプシロン不変量は,ウプシロン不変量で捕まえきれていない情報を捉えるために導入されたものであるが,L空間結び目に対しては,この2次ウプシロン不変量もまた,ギャップ関数のある種のルジャンドル変換であることを証明することができた.この成果は学術論文としてすでに国際学術雑誌に掲載されている. ウプシロン不変量は,コンコーダンス不変量であることが知られている.したがって,スライス結び目に対しては消えてしまう.また,鏡像に対しては符号が反転するという性質から,両手型の結び目に対しても消えることが従う.さらに,交代結び目やより広く擬交代結び目で符号数が0の場合,ウプシロン不変量が消えることは知られていた.本年度は,これらのいずれにも当てはまらない双曲的結び目の無限列で,ウプシロン不変量が消えるものを構成することに成功した.この成果は国内の研究集会で発表し,さらに論文としてまとめ,国際学術雑誌に投稿中である. また,メキシコのEudave-Munoz氏の共同研究で,平行でない本質的トーラスを5枚生成するデーン手術を許容する双曲的結び目の無限列を構成した.この結果は論文としてまとめ,すでに国際学術雑誌に投稿中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内の研究集会での招待講演を2度,さらに国際学会での招待講演を2度行った.3本の論文を執筆し,いずれも国際学術雑誌に投稿中である.また,ポーランドのBorodzik氏との国際共同研究の端緒についたことも理由にあげられる.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度であるが,L空間結び目のウプシロン不変量に関して,ポーランドのBorodzik氏との国際共同研究にとりかかったところなので,まずは最優先でこの研究を論文としてまとめる.年度内に国内及び国外での成果発表も視野に入れている.
|