研究課題/領域番号 |
20K03600
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田 利之 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30279252)
|
研究分担者 |
吉永 正彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (90467647)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 群コホモロジー / クロス加群 / カンドル / ラック / Wirtinger表示 / 中心拡大 / ブレイド群 / ホモロジー / Schur被覆 / Artin群 / Coxeter群 / Coxeterカンドル / 群のコホモロジー / ホモロジー安定性 / コホモロジー / 分類空間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではCoxeter群、Artin群、及びCoxeterカンドルの随伴群という相互に密接に関連している3種類の群の(コ)ホモロジーを研究すること、3つの群の(コ)ホモロジーの間の関係を解明すること、Coxeterカンドルのカンドル・コホモロジーとの関係を探ること、本研究の手法をより広い群の族に対して適用できるように一般化することを目的とし、5つのサブテーマを軸に研究を展開し研究目的を達成を目指す。
|
研究実績の概要 |
(1)結び目群のWirtinger表示と類似の表示をもつ群をWirtinger群と呼ぶ。Wirtinger群は結び目群、曲面結び目群やn次元結び目群、有向閉多様体のユークリッド空間への余次元2の埋め込みの補空間の基本群、ブレイド群と純ブレイド群、Artin群、Thompson群など多くの重要な群を含む広いクラスである。Kuz'min (1986)は与えられた群がWirtinger群であるための障害を群の2次ホモロジー群を用いて記述した。代表者は高瀬壮太氏(代表者の元学生)との共同研究において、Eisermannによるカンドルの2次ホモロジー群に関する公式にヒントを得て、Kuz'minの結果を精密化することに成功した。この結果は既に論文にまとめKobe Journal of Mathematicsに掲載が決まっている。 (2)自由群、自由アーベル群、自由R加群、自由Lie代数などのように、与えられらた代数系の自由対象は代数系の研究において基本的である。自由クロス加群 (J. H.C. Whitehead, 1940年代)、自由カンドル(Joyce, 1982)などの構成は既知であったが、添加ラック (augmented rack) 及び添加カンドル (augmented quandle) に対する自由対象に関する研究はこれまでなかった。代表者は高瀬壮太氏との共同研究において「自由添加ラックと自由添加カンドルの存在と一意性」「自由添加ラックのカンドル化が自由添加カンドルであること」「自由添加カンドルのクロス加群化が自由クロス加群であること」などを証明し、特に自由添加ラックの重要性をあらわにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は(1) K(π,1)予想、(2) ホモロジー安定性、(3) Coxeter群、Artin群、Coxeterカンドルの付随群の(コ)ホモロジーの関係、(4) Coxeterカンドル のコホモロジー、(5) 放物的部分群構造を持つ群への一般化の5つのテーマからなる。 概要欄(1)で述べたWirtinger群に関する研究は (i) 本研究の主要な対象であるArtin群はWirtinger群の重要な例であること、従ってArtin群に対しても適用可能であることn (ii) 任意のカンドルの付随群はWirtinger群であり、逆に任意のWirtinger群はカンドルの付随群として実現できることから本研究の研究テーマと深く関わっている。 また概要欄(2)で述べた添加ラック、添加カンドル、クロス加群に対する自由対象の研究は、自由クロス加群からWirtinger群が得られること、自由添加ラックのクロス加群化として自由クロス加群が得られること、従ってWirtinger群の研究における自由添加ラックの重要性を顕にしたことから、研究テーマ(3)と(4)の進展に大きく寄与するものと考えられる。 これらの研究結果から本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に、カンドルの随伴群がWirtinger群というより広い群に属していることに気づいていたが、さらにWirtinger群、添加ラックと添加カンドル、クロス加群などの間に密接な関係が関係があることがわかった。今後はこれらの関係性に着目してCoxeter群、Artin群、Coxeterカンドルのコホモロジーをより広い視点から研究したい。
|