研究課題/領域番号 |
20K03618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
廣瀬 進 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 教授 (10264144)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 低次元トポロジー / 写像類群 / リーマン面 / 結び目 / 有限群作用 / 擬アノソフ同相写像 / 組みひも群 / 最小生成系 / 代数曲線 / 周期的写像 / 3次元多様体 / 分岐被覆空間 / トポロジー / 曲面結び目 |
研究開始時の研究の概要 |
3,4次元などの低次元多様体の位相幾何学的研究において,その中に埋め込まれた閉曲面の研究,特にその位置の研究が中心的な役割を演じる.さらに,位置の研究のためには,それらの曲面の多様体内における対称性や複雑度について調べる事が重要である.本研究では,特に4次元球面に埋め込まれた曲面や,3 次元多様体内の本質的な曲面,ヒーガード曲面,2 重分岐被覆として現れるファイバー曲面について,それらの対称性と複雑度について写像類群と関連付けることにより研究する.
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研究実績の概要 |
写像類群と結び目に関して主として次の研究を行った: 1)閉曲面上の有限群作用と、擬アノソフ同相写像のデーンツイスト表示の研究:以前に求めた、種数3と4の有向閉曲面上の有限群作用のデーンツイスト表示を見直し、クライン曲線やブリング曲面上の自己同型群と球面上の4次対称群の作用との関連を明らかにし、それを基により明快な形でデーンツイスト表示を求めた.また、平坦曲面上に自然に定まる擬アノソフ同相写像のデーンツイスト表示を求めるための予備的な考察を行った. 2)Flat plumbing basket表示を基にした結び目群の表示の導出法の研究(村田優希氏(東京理科大学)、大森源城氏(芝浦工業大学)との共同研究): 任意の結び目に対し、flat plumbing basket表示が存在することが、小林、平澤、降旗の3氏によって示されている.また、flat plumbing basket表示から Alexander 多項式を求める方法が知られている.今年度は、X-S. Lin による、自由ザイフェルト曲面を基にした結び目群の表示を求める方法を基に、flat plumbing basket表示から結び目群の表示を求める方法を考察した. 3)Lorenz 結び目の結び目群の研究(佐野香悟氏(東京理科大学)、大森源城氏(芝浦工業大学)との共同研究):Lorenz流の閉軌道として現れる結び目や絡み目をLorenz 結び目と呼び、P. Dehornoy 氏によりYoung 図式を用いた表示が導入されている.今年度は、この Young 図式を用いた表示を基に、Lorenz 結び目の結び目群を求める方法について考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3 やや遅れている 以下の理由より,研究はやや遅れていると判断した. 1)大学院幹事等の学内での業務のため出張を行うことができず、研究打ち合わせにより研究を進展させることや、研究集会に出て研究成果の発表を行い最新の情報を得ることが難しかったため. 2)今年度、種々の結び目の表示方法から結び目群の表示を求める方法が得られたことや、曲面上の有限群作用や擬アノソフ同相写像のデーンツイスト表示が得られたことにより、将来の研究の進展に期待ができること. 3)その一方で、今年度研究を計画していた 3 次元多様体の分岐的virtual fibrationのモノドロミーやLefschetzファイバー関する研究については十分に考察する機会が得られなかったこと.
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究で得られた知見を元に,位相幾何学的な観点からの閉曲面や結び目等の対称性や複雑度に関する研究を引き続き行う.具体的には例えば以下の研究を行う. 1)3 次元多様体の(分岐的)virtual fibrationのモノドロミーの研究: 今年度までに得られた3次元球面以外の3次元多様体の2重分岐被覆として現れる曲面束のモノドロミーに関する考察を推し進めることにより一般的な3次元多様体について同様の問題を考察する.また、Agol などにより、双曲的3次元多様体の有限被覆として曲面束が現れることが示されているが、どのようなモノドロミーが現れるか考察を行う. 2)円周上の曲面束を境界とするLefschetzファイバー空間についての研究: 曲面上の同相写像を右手デーンツイストの積として表すことができれば、この同相写像をモノドロミーとする円周上の曲面束を境界とする Lefschetz ファイバー空間を構成することができる.今年度までの閉曲面上の写像のデーンツイスト表示に関する研究をさらに進展させることを通じて、Lefschetz ファイバー空間の研究を推進する.
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