研究課題/領域番号 |
20K03627
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
謝 賓 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (50510038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 保存系 / 良設定問題 / 後退確率微分方程式 / 特異係数 / 輸送型ノイズ / 特異型 / 定量的 / anisotropic / nonlinear growth / Backward SDEs / one-side monotonicity / Navier-Stokes / 確率偏微分方程式 / 確率Cahn-Hilliard 方程式 / 絶対連続性 / 非退化 / 大域解 / 定常解 / KPZ / Malliavin解析 / Cahn-Hilliard equation / Random enviroment / パラコントロール / quasilinear / 緊密性 / 確率解析 / 密度関数 |
研究開始時の研究の概要 |
確率Cahn-Hilliard方程式は保存則をもつ非線形確率偏微分方程式の例の一つとして注目され,様々な研究分野において盛んに研究されている.本研究は,無限次元空間上の確率解析理論に基づき,確率Cahn-Hilliard方程式や確率Cahn-Hilliard/Allen-Cahn 方程式を含むより一般の確率Cahn-Hilliard方程式に関する多彩な確率的性質についての研究を行い,非線形確率偏微分方程式論構築を目指すことである.特に,一般化された確率Cahn-Hilliard方程式に付随するマルコフ過程の長時間にわたる振る舞いについて研究を行う.
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研究実績の概要 |
本年度では,保存系の確率偏微分方程式の解に確率的性質,非線形確率偏微分方程式の解の長時間のふるまい,臨界条件を満たす後退確率微分方程式の良設定問題等の研究に取り組んだ. 質量保存の法則にしたがう乗法的ノイズが加えられた確率偏微分方程式に対して,特異な係数を持つ場合の良設定問題等を調べた.このような確率微分方程式はさまざまな分野に応用されている.良設定問題に関する研究を行うためにノイズの構成に工夫した.また,昨年度に引き続きエルゴード性に関わる解の絶対連続やFreidlin-Wentzell型大偏差原理等の研究に取り組んできた.さらに,特異型の確率Cahn-Hilliard 方程の解の構成にも力を入れた.しかし,予測した結論に至らなかったので,引き続き研究する予定である. 非線形確率偏微分方程式の解の長時間のふるまいに関する研究を行った.適切な条件の下で,輸送型ノイズが加わった2次元非線形確率偏微分方程式が決定的な偏微分方程式への定量的な収束率を調べることをし,確率解析的観点より部分的な研究成果をあげた. ある種の臨界条件の下で,後退確率微分方程式についての良設定問題の研究を行い,解の存在,一意性を中心に調べた.後退確率微分方程式は数学をはじめ,数理ファイナンス,物理学等に幅広く用いられている.本研究課題に取り組む際,確率偏微分方程式への応用を念頭に置き,終端値に積分可能性の意味で臨界条件を課すことで,後退確率微分方程式の解の存在と一意性が成り立つことを示した.また,このような後退確率微分方程式が確率偏微分方程式にどのように応用できるかを調べ始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,引き続き一般された確率Cahn-Hilliard方程式についてのエルゴード性,解の絶対連続性や,特性係数と乗法的ホワイトノイズを持つ保存系の確率偏微分方程式の良設定問題を考えた上,特異型の保存系の確率偏微分方程式の解の構成を考察した.また,非線形確率偏微分方程式の解のふるまいおよび後退確率微分方程式についての研究も進めた.これらの研究により,今年度も研究を進めることができた.一方,本研究課題の重要なテーマである保存系の確率偏微分方程式についての大偏差原理の研究と特異型の確率偏微分方程式の研究は進展したものの,部分的な成果を得るにとどまってしまった.そのため,総合して「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究状況に基づき,質量保存の法則にしたがう確率偏微分方程式に関する大偏差原理等の研究を優先的に進める予定である.また,来年度は確率偏微分方程式に関する最新の動向に注目し,保存則系の確率微分方程式や輸送型ノイズが加わった2次元非線形確率偏微分方程式についての研究も積極的に取り組む予定である.
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