研究課題/領域番号 |
20K03629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上木 直昌 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80211069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 確率解析 / 微分方程式 / 作用素論 / 数理物理 / ランダムシュレディンガー作用素 / スペクトル / 磁場 / Anderson 局在 / 確率論 / 解析学 / 関数方程式論 |
研究開始時の研究の概要 |
ランダムなポテンシャルをもつシュレディンガー作用素に関する問題に多角的に取り組む。 代表的な問題にアンダーソン遷移を数学的に説明する問題があり、様々な問題が考えられているが、行き詰っている部分が多く、進展をもたらすには様々な取り組みを試みることが重要である。 現状ではこの様な研究に取り組んでいる多くの研究者は微分方程式の研究としてこの様な研究に入ってきている。一方、本研究は確率解析学の研究として取り組んでいることに特徴があり、確率解析学の方法が有効な問題を重点的に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究はランダムなシュレディンガー作用素に関する問題に多角的に取り組むことを目的としている。 ポテンシャルがホワイトノイズになっている場合のランダムシュレディンガー作用素の研究について、2次元平面全体で自己共役作用素として定義する方針がたったので、まとめつつある。この作用素についてはパラコントロールカリキュラスが盛んになって早い段階で、コンパクトな空間上、自己共役作用素として定義されてきたが、特に最近になってノンコンパクトな空間を考えやすい熱半群を用いたパラコントロールカリキュラスによっても同様のことが示されるようになった。その方法を更に1の分解を用いて拡張することにより、2次元平面全体で自己共役作用素として定義することに取り組んだ。更に出来た作用素のスペクトル集合を決める問題にも取り組んだ。 スペクトル集合を決める問題に関して連続な Gauss 型確率場をポテンシャルとする場合についてはPasturとFigotinの本で証明の方針が書かれていた。それはGauss 型確率場に対する小球確率の正値性を用いるというものだったがその方針で証明するには修正するべき部分があることが分かった。そこで Gauss 型ランダム磁場をもつランダムシュレディンガー作用素とディラック作用素に対しても同様の結果を証明して論文にまとめ、学術雑誌に投稿した。 相互作用がある点過程に対するシュレディンガー作用素の状態密度関数の挙動について、ポアソン点過程を変形させたギブス点過程に対して、大学院生の中川雄太氏が取り組み、 ポテンシャルが負の場合に、状態密度関数の低エネルギーでの減衰の主要項は、一定のまとまった条件の下で元のポアソン過程のものと同じだが、別のまとまった条件の下では、オーダーも含めて元のポアソン過程のものと異なることを示した。特にあるまとまった条件の下で減衰の主要項を明確に表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポテンシャルがホワイトノイズになっている場合のランダムシュレディンガー作用素の研究について、自己共役作用性の証明とスペクトル集合の決定の方針が立った。 スペクトル集合の決定についてはポテンシャルが連続なガウス型確率場になっている場合について、従来知られていた証明の問題点に気づき、論文投稿までに至った。 ギブス型点配置の周りに負のポテンシャルを置いたシュレディンガー作用素の状態密度関数の低エネルギーでの挙動について新しい形の主要項を決定出来た。
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今後の研究の推進方策 |
ポテンシャルがホワイトノイズになっている場合のランダムシュレディンガー作用素の研究について、今迄の研究をまとめていく。更にこの研究を例えばアンダーソン局在につなげていくには、幾何学的レゾルベント不等式、ウェグナー型評価、一般化固有関数展開などに相当する結果を得たい。この作用素に対応する放物型方程式の研究は既に知られているのでその結果との関係を知りたい。
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