配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では, 幾何学からの視点を組み合わせることで無限次元空間上の確率解析における新たな解析手段を提示する。大まかには以下の2つの研究に分類される。
(1) 構成的場の理論から派生した無限次元空間上の確率力学系に対する特異確率偏微分方程式および離散幾何解析を融合した研究
(2) ラフパス理論, マリアヴァン解析, 測度距離空間上の幾何解析などを援用した無限次元空間上のヘルマンダー型微分作用素の一意性問題, 関数不等式の研究
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研究実績の概要 |
本研究課題の補助事業期間を通して, 大きく分けて以下の2つの研究に大きな進展があった。
(1) 分担者の星野氏, 楠岡氏と共に, (2次元トーラス上の)exp(φ)_{2}量子場の確率量子化を実現する放物型特異確率偏微分方程式の研究を行った。当初はHairerやGubinelliらによる既存の手法を適用することを検討したが, 本質的な困難が生じることがすぐに分かり, その代わりにモデルの特殊性を用いた新たな手法を提案することでこの問題を解決した。またDirichlet形式との関係も明確に分かり, これらの主要な成果をまとめた論文2編は海外の有力専門誌から出版され, 日本数学会や国内外のいくつかの研究集会でも口頭発表を行った。この研究成果は国内だけでなく海外の専門家からも一定の評価を受けたと自負している。
(2) 量子場の離散幾何学的な研究を行うための準備として, リーマン多様体上のドリフト付きシュレーディンガー半群の離散近似の研究を分担者の石渡氏と行った。これは多様体上のFeynman-Kac汎関数積分の有限次元和分近似を考えると言うことにも相当し, 確率数値解析や多様体学習の視点からも面白い研究であると思っている。この成果をまとめた論文1編は, 最終年度に改訂作業を行った後に, 海外の有力総合誌から出版された。それとともに幾つかのセミナー, 研究集会, 確率論シンポジウム, 日本数学会で口頭発表を行った。また最終年度には本科研費を利用して, 海外から数人の研究者を招聘し, 多様体の配置空間上の拡散半群の離散近似に有効であるか否かの議論も行い, 新たな興味深い研究テーマも生まれている。
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